野生エノキタケ、大きく栽培 富山県森林研 技術確立、普及へ

12月23日
TH20111223411
富山県森林研究所(立山町)は22日までに、森に自生するエノキタケを、市販の
品種より、かさの大きさで3倍、丈で1・5倍に成長させる栽培技術を確立し
た。今後は栽培時の温度などを変えることで、現在は市販品種の1・1倍の収量を
さらに増やす。キノコは近年、バイオエタノールの原料としても注目されてお
り、同研究所は食用、燃料用に使える大型エノキタケの栽培を普及させたいとして
いる。
 野生のエノキタケは品種名が「Fv-1」で、同研究所の高畠幸司副主幹研究員
が1990年、立山町吉峰の森に自生するものから胞子を採取し、栽培を始め
た。研究所のキノコ栽培棟で室温13度、湿度90%で育てたところ、約2カ月
で、かさの直径が市販品種の約3倍の30ミリ、丈が約1・5倍の15センチほど
になることを確認した。

 同研究所によると、味は市販のエノキタケとほぼ同じだが、肉厚で、歯ごたえと
豊かな風味、ナメコのようなぬめりが特徴。試食した柳原正紀所長は「鍋料理にし
てもシャキシャキしており、天ぷらや酢の物でもおいしい」と話す。

 同研究所では、従来のおがくずのほか、トウモロコシの芯の粉末や米ぬかを混ぜ
た菌床での栽培に成功している。ナメコ栽培では粉末状にした竹を使った菌床でも
栽培しており、今後は荒廃した森林で木や竹を切り、粉末に加工してエノキタケを
育てることを目指す。

 高畠副主幹研究員は、栽培環境を調整してさらに大型化させることを目標にして
おり、「中山間地で食用とエタノール用の同時栽培に結び付けたい」と意欲を示し
た。

富山新聞


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