2011年12月24日
「山に行く気が起きた」「値段のことを言ったらあかんが、山がきれいになった
し、面白い」「里山券を何に使うか考えるだけで楽しい」
大垣市上石津町で9月、住民たちの手で「木の駅プロジェクト」の実証実験がス
タートした。聞き慣れない言葉に興味を持ち、同月中旬、同町細野の貯木場「木の
駅」を訪ねてみた。軽トラックが次々と集まっては間伐材を降ろしていた。平日の
ためお年寄りが多かったが、どの顔も楽しそうで夢があるように見えた。
プロジェクトは、間伐材を地域通貨で買い取り、里山の再生と地域経済の活性化
を目指す取り組み。実験は9月と11月の2回行われた。9月は約42立方メート
ルだったが、11月には約122立方メートルの間伐材が寄せられた。
実験を行ったのは同町堂之上、建設業、坂口智之さん(47)を委員長とする
「木の駅上石津実行委員会」。実験では出荷登録会員29人から寄せられた間伐材
1立方メートルを地域通貨「かみいしづ里山券」の4000円で買い取り、市に購
入してもらう。市は木質ペレットにして同町内の山村宿泊体験施設「奥養老」など
の燃料として活用する。地域通貨が使える取扱店は青果店や喫茶店、飲食店、ガソ
リンスタンドなど27店。出荷した月と翌月に利用できる。
坂口さんたちが実行委を発足させたのは5月。町内に建設構想がある日帰り温泉
の熱源を考えているうちに、「石油より薪ボイラーがいい。薪を使えば、温泉のコ
スト削減にもなるし、間伐材を薪として使えば、里山整備や地域おこしにつながる
のでは」と町内に呼びかけた。7月には出荷登録会員や里山券の取扱店を募集し
た。出荷登録会員は30代~80代と幅広い。
時まちづくり活動推進委員会のメンバーとして足湯体験などの活動もしている坂
口さん。「地域おこしを考えるようになったのは7、8年前。過疎化が進み、この
ままにしておくと、この地域が廃れてしまうとソフトボールクラブの仲間たちと話
し合ったのがきっかけ」と話す。
今年度は、市の助成を受けて実施した。来年度以降について今月12日夜、出荷
登録会員約20人が集まって話し合われ、全員が来年も継続していくことに賛成し
た。
坂口さんは「山の保全のためには、木の駅が必要。間伐材の供給先さえあれ
ば、十分やっていける。日帰り温泉ができれば、その熱源に活用していきたい」と
熱く語る。坂口さんたちの夢がかなうことを心から願う。【子林光和】=つづく
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