外に出よう、森につかろう 森林浴 Forest Bathing

01健康業界、出版業界、食品業界やデザイン業界に至るまで、さまざまな業界が新たなるトレンドになりそうなライフスタイルに目を光らせ中、日本生まれの健康習慣「森林浴(forest bathing)」が、斬新な言葉の響きとともに受け入れられているようだ。

「Ikigai」や「Wabi-Sabi」など、日本の人生哲学やライフスタイルが次々と英国に輸入され、日本語がそのまま英語の借用語になるケースも増えている中、次なるキーワードとして取り上げられている日本語が「Shinrin-yoku」だ。

「メトロ」紙8月30日号のトレンド・コーナーでは、1982年に日本の林野庁が初めて提唱した健康法である森林浴を、今年最大のヘルス・トレンドとして紹介した。「インスタグラムを30分間スクロールするよりも、森の中を少しだけでも歩く方が私たちにとって良いことなのは誰もがわかっていること」と指摘。森林浴が英国でも受け入れられそうな理由として「人々はちょっとした行動にでもラベル付けをし、意味と重みを付け加えるのが好きだということも関係しているのかもしれない」と分析した。

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さらに同紙のインタビューに応えた、「Forest Therapy」の著者、サラ・イベンス氏は「子供の頃意識せずにやれていたことは、成長するにつれて失われていきます。(森の散歩という行動に)『Forest Bathing』とラベル付けすることは、人々が自然と繋がる重要性を再認識するために役立つでしょう」と、この潮流を歓迎した。

オックスフォード・ディクショナリーの公式ブログでは、「英語に必要な15の日本語」と題して、「Komorebi」「Itadakimasu」などの日本語とともに、2016年にすでにこの言葉に着目。「この言葉が意味する『Forest Bathing』とは、文字通り森を歩き、緑の光を浴びることを意味する。森林を歩くことによって健康増進効果があることは我々も認識していたが、日本人はこれを単語に表した」と、英国人がこれまで当たり前に楽しんできた森歩きを、一歩違ったレベルまで引き上げた言葉として、新鮮な驚きをもって説明している。

Amazon.co.ukで「shinrin-yoku」と検索してみると、森林浴に関する様々な書籍が目に飛び込んでくる。8月30日に発売された「The Little Book of Forest Bathing #Shinrin-yoku」では、森の木々から得る癒しのパワーで幸せになる方法を紹介している。

ロンドン北部に広がる巨大原生林「ハムステッド・ヒース」のウォーキング・ツアーに参加した知人も、ガイドから『Shinrin-yoku』という聞きなれない日本語を教えられたのだそう。

緑地面積が40パーセントを超えるロンドンで森を見つけるのは困難なことではないはず。スマホはポケットにしまい、秋の気配深まる森に癒されに出かけてみては? (写真・文/ネイサン弘子)

森林浴の健康効果

● ナチュラル・キラー(NK)細胞の活性化による免疫力アップ

● ストレスホルモン、コルチゾールの減少

● 脈拍の安定化

● 精神的落ち込みの緩和

(Environmental Health and Preventive Medicineレポートより)

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