自然の木のぬくもりや香りなどには、小さい頃から触れさせてあげたいものですよね。木の力で赤ちゃんの感性を磨く「木育(もくいく)」が近年、注目を集めています。
木育とは、国産材を生活環境に取り入れることで子どもの感性を刺激し、木の大切さを知り、環境を守るところまで広げることを目的にしているものです。
東京おもちゃ美術館「赤ちゃん木育ひろば」って?
木育は家庭でも国産材のおもちゃを取り入れることで実施できますが、東京都新宿区四谷にある東京おもちゃ美術館内「赤ちゃん木育ひろば」でも木育を体験できます。
「赤ちゃん木育ひろば」は、0~2歳までの赤ちゃん専用の遊び場。杉の床材に囲まれた木のおもちゃいっぱいの部屋では親子で木のぬくもりに直接触れながら、木の形や肌触り、色、模様、匂いなどを体感できます。赤ちゃんの安全面・衛生面にも配慮されています。
赤ちゃん木育ひろばではどんな感性が磨かれる?
赤ちゃん木育ひろばでは、主に赤ちゃんのどんな感性が磨かれるのでしょうか? 東京おもちゃ美術館の担当者さんに聞いてみました。
1.五感(視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚)
東京おもちゃ美術館担当者さん(以下、担当者)「赤ちゃん木育ひろばには、国産材で作られたおもちゃがたくさんあります。それらすべては、日本人の作家によって、赤ちゃんが握りやすい大きさに作られており、多くは優しい流線形を描いています。
乳児期から美しい形と色に触れる機会となり、木の香りは心地よく赤ちゃんの嗅覚を刺激します。
また、手触りにこだわったもちもちの肌のように磨かれたおもちゃは、舌で感触を味わう赤ちゃんも安心して遊ぶことができます」
2.自発性
担当者「電気で動くおもちゃと違い、木のおもちゃは手を動かすこと、自分から力を加えることで動き出すため、赤ちゃんの探求心を刺激します」
3.想像力(イマジネーション)
担当者「木のおもちゃの抽象的な形状は、赤ちゃんの成長に合わせてさまざまなモノに見立てることができ、イマジネーションをふくらませます」
4.コミュニケーション感覚
担当者「木のおもちゃは赤ちゃんが自分の手で直接触って遊ぶことから、モノとの距離感や力加減をつかむことができます。さらに成功体験の繰り返しや探求心により人とのコミュニケーションを豊かにします」
パパとママもほっと一息つける場所
むしろママがゆったり!
実際、赤ちゃん木育ひろばでは、親子はどんな風に過ごしているのでしょうか?
担当者「赤ちゃん木育ひろばでは、保護者の方も一緒におもちゃの動きや感触を楽しむ姿が多くみられます。
また、お尻を床に付けてどっしりと遊ぶ姿も多くみられ、2時間程度たっぷりと遊んで行かれます。
お父さんは、当館のおもちゃ学芸員(ボランティアスタッフ)におもちゃの紹介を受けては、我が子の興味や成長に合ったおもちゃを探したり、お母さんは、子どもの関心のおもむくままに寄り添ったりしています。
そしてみなさん共通しているのは、赤ちゃんよりむしろ保護者の方がゆったりと遊びを楽しんでいらっしゃることです。保護者がゆったりとすることが、赤ちゃんに“安心の場”だと感じさせ、情緒を落ち着かせ質の高い遊びにつながるのでしょう」
赤ちゃん木育ひろばは、子どもの感性を高めることが期待できる上に、この忙しく慌ただしく過ぎる日常に、ほっと一息、ゆったりとした時間を提供してくれそうです。そんな貴重な時間を過ごしに出かけてみるのもいいかもしれませんね。
東京おもちゃ美術館には、今回ご紹介した赤ちゃん向けの場だけでなく、年齢が上がるにつれて楽しめる「おもちゃのもり」「おもちゃのまちきいろ」「おもちゃのまちあか」などの場もあります。
ぜひ木の恵みと遊びの楽しさを感じに出かけてみてはいかがでしょうか。
【取材協力】東京おもちゃ美術館
木の温もりを五感で感じられる「おもちゃのもり」や、0~2歳までの赤ちゃんと保護者専用の「赤ちゃん木育ひろば」などで、世代を越えて楽しむことができる、おもちゃと遊びの体験型ミュージアム。
2018年10月13日、14日には「東京おもちゃまつり」を開催。おもちゃの販売・ワークショップなど100以上のブースを楽しめる。