「現代型焼き畑」地域ブランドに

k_img_render.php高知大教育研究部黒潮圏科学部門の田中壮太准教授(熱帯土壌学)が、農薬や化学肥料なしで作物を育てられる焼き畑栽培に着目し、大豊町怒田で「現代型焼き畑」の開発に取り組んでいる。中山間地を活性化しようと、焼き畑で育てた無農薬野菜の地域ブランド化をめざしている。
 7月24日、怒田地区の林に囲まれた畑に火入れをするため、田中准教授や研究者、高知大生ら数十人が集まった。畑の傾斜は15度から25度ほど。焼き畑栽培の経験がある地元住民の指導で、積み上げた杉材に点火した。棒を使って木を動かしながら火を回し、2日かけて木をすべて灰にした。
 8月1日には大根や赤カブ、小松菜、水菜などの種をまいた。冬前には収穫できる予定という。
 焼き畑栽培はかつて四国山地のあちこちで見られた。だが、過疎化や杉などの植林が進み、1960年前後からほとんど見られなくなった。
 田中准教授は東南アジアで焼き畑栽培の研究をしている。焼き畑は木の灰が肥料になるため化学肥料がいらず、熱で雑草の種が焼かれるため除草剤も不要という。こうした利点に注目し、焼き畑で育てた無農薬野菜を特産品にしようと、昨年から怒田地区で現代型焼き畑に取り組んでいる。
 昨年は約900平方メートルの雑木林で木を切って焼き、カブや大根、水菜、小松菜などを栽培。時々、間引きをする程度の手入れで、小ぶりだが質の良い野菜が収穫できた。雑草は生えず、害虫も少なかったという。
 今年は間伐材の有効利用につなげようと、昨年に開いた畑の半分で、隣の林から間伐された杉材を積み上げて焼いた。2年続けて作付けする残り半分の畑と比べ、灰の肥料効果や土壌中の養分なども調べる。
 全国では山形県鶴岡市の「温海カブ」など、焼き畑栽培で地域ブランド化した例があるという。田中准教授は「昔の焼き畑を復活させるということでなく、中山間地の現状に合った手法を考えている」と話している。
<asahi.com My Town 高知(2010.8.16)>


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