2011.11.28 日本経済新聞
三菱鉛筆はペン軸に鉛筆用木材を使ったキャップ式ボールペンを9月16日に発売した。北米産のヒノキの一種、インセンスシダーを採用。鉛筆のイメージを踏まえながら、自然派志向の雑貨の味わいを出したデザインにした。
インクにはにじみにくく、書き味が滑らかなゲルタイプを使用。キャップは樹脂製でポップな色調にした。細身なので手帳と組み合わせても使いやすい。価格は294円、販売目標は初年度1億4000万円。
【日経産業地域研究所研究員の視点】
絶対評価に基づき採点した(鉛筆用木材を使ったボールペンは他社にもあるが、ゲルインクを使いインク色を多くそろえたタイプは独自の取り組みのため)
企業も消費者の自然派志向の空気を敏感に感じ取っている。パソコンのキーボードやマウスにも木製商品が登場した。3月にはNTTドコモが主にヒノキの間伐材を使った携帯電話を発売している。
今回の対象品は、油性タイプ「ジェットストリーム」でボールペンの書き味に滑らかさの新風を吹き込んだ三菱鉛筆が、ペン軸素材で新機軸に挑んだ製品だ。機能面で成功したジェットストリームから視点を変え、デザインで感性に訴える付加価値を追求。一定の強度を確保できるようにインクの芯を通すための金属パイプを木材のペン軸内部に取り付けつつ、軽くなるように工夫を凝らした。
木材の裁断や穴開けなど製造工程の手順も試行錯誤の連続だったという。インクカートリッジは交換できるので長期間使える。使い込むにつれ、木製のペン軸ならではの「味」が出てくることも魅力になりそうだ。
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