林野庁 国有林野事業の23年度技術開発重点3課題を選定

2011.04.12  

 林野庁は平成23年4月12日、国有林野事業の23年度技術開発重点課題として、[1]コスト削減をめざした森林整備への取組~コンテナ苗による省力造林に向けて~、[2]長伐期施業における樹冠長率を指標とした森林管理技術の開発、[3]かかり木処理器具の改良及び伐採方法の検討の3つを選定したと発表した。
 国有林野事業では、CO2吸収、生物多様性保全などの森林の公益的機能をいっそう引き出す林業技術開発を効果的に推進するため、森林管理局から提案のあった案件の中から、重点的に取り組むべき技術開発課題を毎年度選定し、検討を行っている。
 選定された3課題のうち、[1]は、コンテナ苗※1 の植栽が造林技術として有効であるかを検証するため、北海道の主要林業樹種であるトドマツ、アカエゾマツ、カラマツ等のコンテナ苗の植栽功程、活着状況、生長等の調査を行うもので、北海道森林管理局森林技術センターが (独)森林総合研究所北海道支所の協力を得て実施する。
 [2]は、長伐期施業※2 を推進するため、樹冠構造と生長の関係に着目し、樹冠長・樹冠長率※3 を指標として、気象害への耐性を備え、かつ直径成長が持続する林型を維持する森林管理技術を開発するもので、中部森林管理局森林技術センターが岐阜県立森林文化アカデミーの協力を得て実施する。
 [3]は、間伐を促進するため、かかり木※4 処理器具の軽量化及び携行しやすい改良等並びにかかり木が発生しにくい伐採方法を検討し、間伐作業の安全性の向上を図るもので、四国森林管理局森林技術センターが実施する。

※1 マルチキャビティコンテナ(苗木生産用の容器)で生育した苗木。培地付き苗木であることから、植栽の効率を高めることや良好な初期生長が期待される。
※2 通常の主伐林齢(例えばスギの場合40年程度。林齢は樹木の年齢。)のおおむね2倍に相当する林齢を超える林齢で主伐を行う森林施業。
※3 樹高(樹木の根元から先端までの高さ)に占める樹冠(樹木の枝や葉の茂っている部分)の高さ(長さ)の割合。
※4 伐採された木が、周囲の木に寄りかかり不安定な状態になっていること。

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