クギ不要・間伐材で「エコ住宅」、工業高生が挑戦

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福島県立郡山北工業高校(兼田信男校長)建築科の3年生12人が、県産の間伐材を利用し、産業廃棄物を出さない「再利用可能な組み立て式ハウス」の製作に取り組んでいる。

 来月2、3日に郡山市のビッグパレットふくしまで開催されるふくしま環境・エネルギーフェアに試作品を出展する予定で、生徒たちは「エコと建築に興味を持ってもらえるような作品に仕上げたい」と意気込んでいる。

 建築科では昨年度から、「エコ住宅」についてインターネットで先進事例を調べるなどの調査・研究を実施。今年度は県の環境教育推進事業の一環として、毎週金曜日5、6時限の「課題研究」の時間を活用して「再利用可能なモデルハウス」の製作に励んでいる。

 地場産木材の地産地消を進める秋川木材協同組合(東京都あきる野市)の事例を参考にし、材料は県産スギの間伐材のみを利用。指導する長谷沼徹教諭は「壁一つ取っても、ほかの材料を使うより10倍近くの木材を使うため、間伐を促進し、森林の活性化にもつながる」と、メリットを説明する。

 また、柱やはりなど、木の軸を組み立てて建物を支える日本古来の住宅建築工法「木造在来工法」を採用。「ほぞ」「ほぞ穴」などの凹凸を組み合わせて部材同士を接合する手法で、クギや金物を使用しないため、産業廃棄物が出ないメリットがあり、部材の再利用も容易だという。生徒たちは昨年度から、県の名工に選ばれた地元建築業者から伝統工法の指導を受けており、今回の製作で実践している。古川和興さん(18)は「うまく組み合うように木を加工するのは難しいけど、形になる時には達成感がある」と話し、着実に技術を身に着けている様子だ。

 モデルハウスは、床面積約3畳、高さ約2・2メートルの組み立て式で、計2組を製作する予定。組み合わせることも可能で、アウトドア用の山小屋や、茶室・書斎など、幅広い用途に利用できる。

 一方、ハウスの省エネ電源確保策として、情報技術科の3年生8人が、太陽の座標データを元にパネルの向きや仰角を変えて追いかけ、発電効率を高める追従式のソーラーパネル製作に取り組んでいる。

 来月のエネルギーフェアには、中間報告として縮尺2分の1の模型ハウスを出展する予定で、ソーラーパネルも併せて展示する。長谷沼教諭は「製作を通して環境に対する関心を高めるとともに、ものづくりの実践的な力をつけてほしい」と期待している。(西口大地)
<読売新聞(2010.10.2)>


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