徳島県建築士会の会員や県内の林業関係者らでつくる徳島木造建築研究会(内野輝明代表幹事)が、日本建築士会連合会の「まちづくり大賞」を受賞した。津波防災の観点から集落の高台移転構想をまとめるなどの取り組みが評価された。
構想は、将来の南海地震で甚大な津波被害が予想される県南の漁村集落を想定。事前に高台の傾斜地に移ったり復興住宅を建てたりする場合、集落の在り方や住宅の構造、使用部材をどうするべきかを示した。木造で安全性や施工性を確保し、環境面にも配慮したのが特徴で、「こうのすまい」と名付けた。
研究会の有志10人がワーキンググループ(WG)をつくり、2012年秋から半年間研究してまとめた。
美波町は実際にこの構想を生かし、災害時の2次避難所確保に悩む木岐地区の高台に農林漁業体験交流施設を建設することにし、WGに設計を委託した。13年秋に着工、14年末までの完成を目指して建設を進めており、こうした実例があることも評価につながった。
まちづくり大賞は、建築士による優れたまちづくり活動を表彰する賞の中で最高の賞。全国24団体から応募があった。1次選考を通過した7団体の公開選考会が10月23日に福島県郡山市であり、佐藤滋早稲田大教授らが選んだ。
研究会の内野代表幹事(51)=徳島市沖浜東1=は「全国に先駆けた取り組みだと評価されてうれしい。構想が高台移転のツールとして多くの地域で検討してもらえるよう、今後も研究を重ねたい」と喜んでいる。
【写真説明】高台に建設が進む美波町の体験交流施設=6月、美波町木岐(木造建築研究会提供)