徳島県立農林水産総合技術支援センターが、森林総合研究所(茨城県つくば市)などと共同で、スギ、ヒノキの苗を専用容器(コンテナ)で栽培する技術研究に取り組んでいる。主流の畑栽培に比べて作業が効率化でき、県産、国産材の生産量が増加傾向にある中、伐採後の植林をスムーズに進めていくのが狙いだ。
コンテナ栽培は、畑栽培で行っている除草や土壌消毒、農機具を使った苗の掘り取り作業の必要がなく、水やりや施肥の管理もしやすい。コンテナから抜き取った苗は、根の部分に土が付いた状態でまとまっているため植林作業が楽で、乾燥に強くほぼ1年中植えることができる。
センターは2013年度、苗生産者と共同で、コンテナ苗の栽培方法やコストについて研究。実用化に一定のめどが立ったため、新規参入した生産者2人に技術提供し、14年度から栽培している。
一方、徳島を含む16道県と森林総合研究所、民間企業などが14年度から共同研究を始めた。現在植林まで2年程度要する栽培期間の短縮や低コスト化、高品質化などに取り組んでいる。
県産材の生産量は04年の17万4千立方メートルに対し、13年は29万2千立方メートルと増加。県は20年度までに40万立方メートルまで増やす目標を掲げており、実現には伐採後の植林のスピードが課題になっている。
センターは「持続的な森林経営を行うためには、県産材の生産量、消費量を増やすのと並行して、伐採後の植林を進める必要がある。コンテナ苗の栽培技術を確立し、普及させていきたい」としている。
【写真説明】コンテナで試験栽培されるスギの苗=石井町の県立農林水産総合技術支援センター