木曽ヒノキに保護地域 中部森林管理局【長野】

PK2014030402100192_size0長野県と岐阜県にまたがる地域に分布する天然の「木曽ヒノキ」など貴重な針葉樹林を保護しながら、人工林を天然林に復元する全国でも珍しい取り組みが始まった。中部森林管理局(長野市)は四日、保護の対象となるエリアを発表した。三百年先を見据えて、後世に天然のヒノキ林を残すプロジェクトが本格的に動きだした。

対象地域は、木曽ヒノキの産地として知られる上松町と王滝村、大桑村から岐阜県中津川市にかけての一万六千五百ヘクタール。樹齢三百年の天然ヒノキが残る「核心地域(コアa)」、天然林と人工林が混在する「核心地域(コアb)」、核心地域を取り囲む人工林主体の「緩衝地域」を設定した。

管理局は「コアb」の人工林を、長期的には天然林に置き換えていく方針。天然林への復元を目指す保護エリアの設定は、全国でも初めてという。

木曽ヒノキは、強度や耐久性、独特のつやで最高級材として知られる。昨年の伊勢神宮式年遷宮にも御造営用材として送り出されるなど、寺社など木造建築の建立や改修時に重宝されている。

しかし、県内の天然木曽ヒノキは減少しており、二〇一一年度は三百二十五万立方メートルと、三十年前に比べ30%も減っている。

エリア設定の背景には、日本文化になくてはならない天然木曽ヒノキを増やし、後世に伝えたいという林業関係者の思いがある。

管理局の鈴木信哉局長は会見で「県境を越えてエリアを設定できた。これから三百年という長い目標に向かって、取り組みをしていきたい」と意気込んだ。

一方、どんな技術で人工林を天然林に復元するか、基本的には人の手を入れない地域の監視をどうするかなど課題は残る。

管理局は、新年度に有識者や林業関係者などでつくる管理委員会を設置し、課題への対応や目標設定について検討を始める。

中日新聞