陸前高田の被災木で大正琴 駒ケ根の琴伝流制作【長野】

PK2014021702100152_size0長野県駒ケ根市赤穂の琴伝流大正琴全国普及会が、東日本大震災で甚大な被害を受けた岩手県陸前高田市の被災木を使った大正琴を作った。胴部分には、「奇跡の一本松」をあしらった。代表取締役専務の北林篤さん(50)は「大震災時、大正琴は多くの人たちの心の支えになった。その教訓を伝える“希望のシンボル”を作りたかった」と話している。

大震災から一カ月後の二〇一一年四月。宮城県の女性から津波のがれきから見つかった大正琴の修理を依頼された。しかし、弦はさび付き、本体も泥だらけで使いものにならなかった。それ以後、琴伝流は被災地に新品の大正琴を約二百台寄贈。大正琴を愛する仲間を応援してきた。

「奇跡の一本松」が描かれている=駒ケ根市の琴伝流大正琴全国普及会で

昨年九月、琴伝流は岩手県で大正琴を指導する会員のつてで、陸前高田市の高田松原の被災木・アカマツを手に入れた。横二メートル、縦八十センチで大正琴四台分の材料に相当した。

大正琴で使う材木は、素材が柔らかいキリやスプルースが主。ヤニや粘りけのあるアカマツは、本来材料に向かない。アカマツの節をよけながら、形を整える作業にも苦労した。

実際に弾いてみると、「木の粘り、しっとり感が音を丸くしている」と北林さん。「大震災以降、みんなで支え合い、立ち上がってきた。陸前高田の大正琴で人がつながることの大切さを思い出してもらえたら」と話している。

三月二日、長野市で開かれる県芸術文化総合フェスティバルで、陸前高田の大正琴を使い、復興支援ソングの「花は咲く」を披露する。

(札木良)

中日新聞