自然林を回復させよう 2団体が植樹【和歌山】

2677651和歌山県田辺市中辺路町で1日と2日、自然林を回復させようとJA紀南や自民党県支部連合会がそれぞれ照葉樹や落葉樹を植える活動をした。

JA紀南は1日、中辺路町小松原の小松原区有林でアラカシやウバメガシの苗木約千本を植えた。

「照葉樹の森づくり」事業として、スギやヒノキを伐採した後の区有林のうち約2ヘクタールを借り、熊野の森ネットワーク「いちいがしの会」の指導を受けながら毎年植樹している。今年で5年目。これまでシラカシ、ヤマモモ、モミ、ツガ、イヌマキ、ケヤキなど約10種類の苗木を植えている。

この日の植樹には、中辺路中学校の全校生徒52人を含む約100人が参加した。くわで穴を掘り、苗木を植えた後、足で土を踏み固めた。その後、シカの食害から苗木を守るプラスチック製(直径約15センチ、高さ1・5メートル)のチューブを苗木にかぶせ、土中に打ち込んだ2本の支柱に固定した。

同校の生徒は毎年、熊野古道沿いで拾ったドングリから苗木を育てて植えている。3年の前田新太君は「斜面が急なので作業は大変だけど、地球温暖化の防止に役立つし、前に植えた木が大きく育っているのも分かったのでよかった」と笑顔で話した。

■落葉樹植える 自民県連が森づくり

自民党県支部連合会は2日、中辺路町野中で約300人が参加して落葉樹の苗木約300本を植えた。

林業の活性化や緑豊かな自然の保全を目的に、2年間で森林約3・2ヘクタールに落葉樹を植える計画。植樹する森林を「木の国『じみんの森』」と命名し、実行委員会(門博文委員長)を設立した。自民党関連では全国に先駆けた取り組みだという。

植樹する森林は地元の近野振興会の所有地で、人工林を伐採した後、そのままになっていた。植えるのはコナラ、イロハモミジ、ケヤキ、トチ、ヤマザクラの5種のほか、燃えにくいというマテバシイ。作業は中辺路町森林組合に委託し、ことしは2ヘクタールに約5千本、来年には1・2ヘクタールに約2500本を植え、10年間にわたって管理する。事業費は党員らからの寄付などで賄う。

この日は、現地で植樹祭を開いた。二階俊博県連会長ら党所属の国会議員や県議、県知事、市町村長のほか、県内の党員や団体代表などが参加した。

二階会長らがあいさつした後、参加者全員が植樹の現場に移動。山の斜面でくわを使って穴を掘り、高さ約70センチの2、3年生の苗木を植えた。

実行委の門委員長は「古里の森林環境や1次産業を再生させるための第一歩になればと思う。全国に広がっていくことも期待したい」。森林組合の岡上哲三組合長は「この活動は森林環境の保全や熊野古道の景観をよくするだけでなく、地元の雇用にもつながり、大変ありがたい」と話した。

連合会によると、「じみんの森」は今後、県内で増やしていきたいという。

【植えた苗木にプラスチックのチューブをかぶせる中辺路中学校の生徒(和歌山県田辺市中辺路町小松原で)】

紀伊民報