長野県下伊那郡売木村でかつて盛んだった炭焼きを受け継ごうと、村内で活動する地域おこし協力隊員ら4人が6日、村のお年寄りから炭焼きの工程を学んだ。現在、村内で炭焼きを続けているのは2軒だけ。木材の伝統的な活用法を伝えるとともに、木炭の新たな活用策も探る狙いだ。
指導したのは同村岩倉の農業、遠山政信さん(75)。隊員らは、動力式の機械でナラ材を長さ1メートル、幅10センチに割り、窯に運んで内部に立てて並べた。遠山さんは奥から隙間なく並べるよう助言。窯に入れ終わると、入り口に鉄板を立てて周囲を泥でふさぎ、たき口に火を付けた。隊員も加わって火の番を続け、約2週間で炭が完成するという。
村誌によると、村内の木炭生産量はピークだった1957(昭和32)年に約630トンあったが、石油燃料が普及して、71年には約300トンに半減。遠山さんらが焼いた炭は現在、キャンプ場での調理用やこたつの燃料として主に村内で使われている。
炭焼きが廃れつつある現状を知った隊員が遠山さんに指導を願い出た。この冬で基礎技術を身に付け、次の冬は村内に残る窯を活用して単独で炭焼きに挑戦する予定だ。隊員の能見奈津子さん(29)は「木を隙間なく並べるなど思った以上に細かい作業が必要だと分かった」と話していた。