農業大学校に県内初 木質チップボイラー【鳥取】

20131212-524064-1-N豊かな森林資源を活用して二酸化炭素の排出削減や地域経済の活性化を目指そうと、鳥取県は12日、間伐材を砕いて燃やし、給湯や暖房に利用する「木質チップボイラー」を鳥取県立農業大学校(倉吉市関金町)に設置した。県内では初めて。重油ボイラーからの転換で、普及すれば森林整備や雇用創出にもつながると期待されている。(野口英彦)

木質チップボイラーは、最大出力180キロ・ワットで、杉やヒノキの間伐材を薄片状にしたチップを燃やし、沸かした湯を学生寮や宿泊棟での入浴や交流館ホールの床暖房に使用する。

木を燃料とするボイラーは、おかくずを乾燥させて高圧で固めた木質ペレットを使うタイプが県内でも普及しつつある。木質チップボイラーは、自動制御で燃焼効率を高める仕組みを備えており、水分を含む生木も燃料に出来るのが利点。ペレットより燃料の加工工程がシンプルで、チップの単価は1キロ・グラムあたり約10円と、ペレットの半額程度に抑えられるという。

間伐材は県中部森林組合が供給し、年間150トンを活用する見通し。従来は80キロ・リットルの重油を燃やしていたため、216・5トンの二酸化炭素削減効果があるという。森林の適正な管理や林業分野での雇用創出など、地域経済にも好影響をもたらす可能性がある。

鳥取県立農業大学校は「木質ペレットボイラー」(1基)と「地中熱ヒートポンプ」(3基)も導入し、野菜や花を栽培している温室の暖房に使う。いずれも農業利用は県内初。従来の灯油に比べて燃料費が安くなるという。3タイプ5基の導入費は1億500万円。

この日は、同校で学生や地元の市立関金小の児童ら約50人が参加して点火式が行われ、中山貴雄・県生活環境部長が「県内の山がエネルギー源になる時代が来つつある。普及を進めたい」とあいさつ。安養寺寿一校長らが点火した種火を4年生22人がリレーし、中山部長と点火した。

鳥取県環境立県推進課は「石油に比べて燃料費がどれだけ削減できるかデータを収集し、市町村や企業が木質チップボイラーを導入しやすくなる助成制度も検討したい」としている。

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