里山の保全を目指し、能登町で間伐材を地域通貨に交換する「木の駅プロジェクト」が進行している。年内には町内の山林保有者や森林組合などによる実行委員会を組織。山林の荒廃抑止に向けて、活動を活発化させる。
「木の駅」は、間伐材の活用や地域活性化を目的として2009年に岐阜県恵那市で始まった取り組み。現在は全国30か所以上で行われている。地域の山林の間伐材などを地域通貨に交換し、間伐材は薪やチップに加工して出荷する仕組み。荒れた山林の手入れを支援する狙いもある。
能登町の実行委は年内に設立予定。テストケースとして来年6~7月頃には、能登町柳田地区に「木の駅」を設置し、活動をスタートさせる。
柳田地区は面積の約8割が森林。以前は県内有数の木炭生産地だったが、高齢化や林業の衰退で山林の荒廃が進んでいる。プロジェクトでは長さ約50センチ~2メートルの木材1トンを、地元商店街で使用できる通貨券(6000円相当)と交換できる仕組みにする予定だ。
今月21日には能登町の柳田山村開発センターで、全国各地のプロジェクト設立に携わったNPO法人地域再生機構の丹羽健司さんの講演会が行われ、地元の山林所有者や森林組合の関係者など約40人が参加した。
丹羽さんは愛知県や鳥取県などでの取り組みを紹介し、地元の商店街が活気づいた事例を紹介。丹羽さんは「主役は住民で、行政はあくまで黒子役。中学校区で行えば、成功しやすい」などとアドバイスした。
講演会に参加した森林保有者の平紀明さん(73)は「間伐材は積んだままにしてあり、山の手入れは高齢化で進んでいない。このプロジェクトが実現して、柳田にかつてのにぎわいが戻ってほしい」と期待を寄せていた。
(2013年11月26日 読売新聞)