ロンドン(CNN) 「海の林」と言われるマングローブ林が陸地の森林の約4倍の速さで消滅していることが、このほど発表された国連環境計画(UNEP)の調査報告書で明らかになった。
報告書によれば、マングローブ林は、世界全体で見ると1980年当時の総面積の5分の1(約3万5500平方キロ)相当範囲が消滅している。
マングローブは亜熱帯地域の河口汽水域の塩性湿地に成立する森林生態系。伐採ペースは年あたり0.7%程度に下降したものの、現在のペースで沿岸地域の破壊が進んでマングローブ植林活動の規模が縮小されていけば、経済的にも環境的にも大きな打撃を受けることになるだろうと同報告書は警告している。
マングローブ林は、1ヘクタールにつき推計で年間2000~9000ドル(17~78万円)規模の漁業の基盤になっている。マングローブを破壊する最大の原因はエビ養殖業や農業、観光開発だとされているが、マングローブが漁業にもたらす収益はこれらの産業の収益を上回る。
東南アジア諸国やオーストラリアでは、マングローブ林が多数の種の魚介類の生息地となっている。また、良質な材木が得られることから、漁業だけでなく林業の基盤ともなっており、これらの地域社会ではマングローブ林が人々の生活にも重要な意味を持つ。
マングローブ林は世界123カ国に分布し、総面積はおよそ15万平方キロ。インドネシアに最も広範囲に分布し(全体の21%)、次いでブラジル(同9%)、オーストラリア(同7%)となっている。
CNN.co.jp(2010.7.18)より抜粋
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