昨年7月の大分県豪雨で大量の流木が発生し、被害の拡大をもたらしたとして竹田市は、本年度から3年間にわたって玉来川や吐合(はきあい)川の河川沿いにあるスギなどの人工林を伐採する流木被害森林緊急整備事業の工事を実施する。12日、現地で工事の安全祈願祭があった。
祈願祭は竹田市今の吐合川沿いの現場で開かれ、竹田市、県、竹田直入森林組合、流域自治会などから40人が出席。首藤勝次市長が「下流域の被害を減らすために事業を進めるとともに、上流域の熊本県にも協力を求めていきたい」とあいさつ。神事をして工事中の安全を祈願した。
大分県が今年3月に策定した「次世代の大分森林づくりビジョン」に基づく「災害に強い森林づくり」の補助を受け、竹田市が事業を実施。被害が予想される河川沿いの急斜面にある人工林を幅10メートルの帯状にわたって全部切り出す。地面に光が届くよう人工林を40%間伐する場所もある。その結果、残った人工林の根や、広葉樹が育つことで斜面の土壌を強くし、流木の発生しにくい森林づくりにつながるという。
竹田市の事業は、玉来川や吐合川の流域2キロにある約18ヘクタールの森林が対象。本年度は6.75ヘクタールで実施する。吉良喜久男・市林業振興室長は「事業対象となっている森林の所有者が60人以上いる。市外に住んでいたり、所在をつかむことが難しい面もある。洪水による被害を防ぐためにも協力と理解をお願いしたい」と話している。