秩父地方の森林所有者でつくる「秩父広域森林組合」は十二月から、秩父市など五市町の山で森林伐採後に放置されている「端材(はざい)」などの木材について、実勢価格の二倍程度で買い取る実証実験を始める。森林所有者個人が持ち込む場合に限り、組合が代金を支払う。所有者が山を手入れする機会を増やし、放置木材を減らすのが狙いで、災害を防ぐ効果も期待できるという。
商品として流通する木材は長さ三~四メートルで、真っすぐな物にほぼ限られる。長さの短い端材や、傷があったり曲がったりしている木の多くは山に放置され、大雨などでふもとに流出すれば、民家などに被害が出る恐れもあるという。
今回の実験は「ちちぶ木の駅プロジェクト」と題して実施。十二月~来年二月の各月三日間を買い取り期間とし、毎月計五十立方メートルの木材を引き取る。買い取り額は一立方メートル当たり四千円で、実勢価格の二千~二千五百円より高く設定した。
組合は、秩父市商店街連盟事業協同組合が発行するコイン型商品券「和同開珎(かいちん)」で代金を支払う。市内の加盟店で利用してもらい、地域活性化にも役立てる。代金に充てる費用は、秩父市など五市町と組合で負担する。
森林の伐採は、森林所有者と契約した業者が行うことが多く、普段は山に入らない所有者が少なくないという。このため実験では所有者自身が持ち込む場合に限って買い取るとし、所有者自身が山の手入れをするよう後押しする。木材の搬入車は軽トラックを原則とし、業者の大型トラックなどで大量に持ち込まないようにする。
森林組合では、購入した木材を、キノコの菌床栽培で使うおがくずに利用する予定。組合の柳原登参事は「実験の取り組みを定着させて、山仕事に目を向ける人を増やしたい」と期待している。
実験参加には事前登録が必要。事前説明会は十一月九日午前十時から、秩父市寺尾の同組合木材センターで開かれる。問い合わせは、秩父広域森林組合=電0494(26)5231=へ。