希望の森願い植樹祭 南相馬 震災がれきの堤に2万本 AKBや細川元首相も参加

phpThumb_generated_thumbnail東日本大震災の犠牲者への鎮魂と復興への思いを込めた福島県南相馬市の植樹祭が6日、かつて緑の松林が広がっていた真野川河口部の右田浜キャンプ場跡で行われた。地元や全国から参加した約3千人が、震災がれきを積み上げた堤体に広葉樹の苗約2万本を植樹し、後世の希望の森となるよう願った。

植樹の場所となった堤体は、長さ100メートル、幅50メートル、高さ2・5メートル。鹿島区で発生したコンクリート片や津波の堆積土などを積み上げた。

開会式では、黙とうに続き、桜井勝延市長が「震災で亡くなった方の魂を受け継ぎ、命を再生する仕事をしていきたい」とあいさつ。震災前から同市の植樹事業に協力してきた宮脇昭横浜国立大名誉教授がタブノキ、シラカシ、アカガシなど土地に適した16種の植樹する苗を紹介し、植え方を指導した。

参加者は家族連れ、夫婦、友人グループ、職場の仲間などさまざま。指導者の助けを借りながら、土を掘り、根をぬらした苗を優しく植え、根元をわらで覆った。宮脇名誉教授によると、木々は20年後には10~15メートルまで成長するという。

■被災地の将来夢み… 参加者さまざまな思い

かすかな霧雨の中、海鳴りが聞こえる会場に足を運んだ人たちは、将来への希望、被災地支援などさまざまな思いを込めて苗を植えた。

地元鹿島区の会社員尾賀秀明さん(42)は、震災の年に生まれた長男一颯(いっさ)ちゃん(2つ)を連れてきた。「2、30年たって彼がまた訪れた時、立派な森ができていたらうれしいだろう。彼の子どもも一緒ならもっとうれしい」と話した。

茨城県守谷市の英語講師デン・デーゲンハートさん(66)は震災後、応援のため本県を観光で何度も訪れている。「今回も助けたいと思った。すごくいい催し。プラスの方向に向いていってほしい」と笑顔で話した。

埼玉県飯能市の無職新井清さん(74)は初めて東北の被災地を訪れた。「想像以上の被害を実感した。見なければ分からない。木を植えるという自然回帰の取り組みに力を貸したいと思った」という。

■「くまモン」愛嬌振りまく

植樹祭を共催した公益財団法人「瓦礫(がれき)を活かす森の長城プロジェクト」理事長の細川護煕元首相、AKB48の北原里英さん、梅田彩佳さん、高城亜樹さんも参加者とともに苗を植えた。

細川元首相はあいさつで「木は1年1メートル成長する。東京五輪の7年後は7メートルになる。訪れた外国人に日本の素晴らしい取り組みを示すためさらに多くの木を植えていきたい」と述べた。

細川元首相の縁で熊本県の人気ゆるキャラの「くまモン」も登場し、愛嬌(あいきょう)を振りまいた。

福島民報