秋田県は林業の担い手を増やすため、就業前の若者を対象とした専門の研修機関の設置を検討する。佐竹知事が24日、開会中の県議会一般質問の答弁で「増大する素材生産に対応するため、就業者の確保が必要。研修機関の設置で地域林業や企業のリーダーとなる若い林業技術者を育てたい」と方針を明らかにした。
秋田県森林整備課によると、県内の民有林の杉人工林は約23万8000ヘクタールで、全国トップの資源量を誇っている。さらに、合板など秋田杉の用途が広がっていることを背景に、木材伐採量は増加傾向にあるという。
一方、近年、秋田県内の林業従事者は約1700人前後で推移しているが、このうち4割を60歳以上が占め、30歳未満は1割に満たないため、高齢化が深刻になっている。林業には高い技術力が必要で、技術を蓄積した高齢従事者が引退すると、「現在の生産力を維持するのが困難になる」(県森林整備課)懸念があるという。
全国的には、京都府が昨年、林業大学校を開校するなど、林業が盛んな地域では行政が研修機関を設け、若手就業者を増やす動きがある。しかし、秋田県の場合、既に林業に就いている就業者向けの研修はあるものの、未就業者の研修を行う機関はないという。
このため、秋田県は、伐採など林業の実践的な技術に加え、森林経営や木材の流通・加工などといった高度な知識を備えた若手林業技術者の育成を目指し、研修機関の設置を検討するという。