住友林業が紋別に建設することを計画している、国内最大規模の木質バイオマス火力発電所の実現に向けて、紋別市は木質バイオマス火力発電所誘致推進本部を20日設置した。本部長は棚橋一直副市長が務め、副本部長には民間団体・紋別木材協同組合の副理事長を務める松本正之氏(66)を専従で充てた。松本氏は市役所OBだが、市役所の組織に民間人を常勤職員として起用するのは初の試み。20日の記者会見で宮川良一市長は「官民が一体となり誘致を実現させたい」と述べた。
住友林業による木質バイオマス発電所の紋別建設計画は、今年5月に日本経済新聞が報道。これを受けて、市もこうした動きがあることを認める記者会見を開いている。ただ、住友林業側は、まだプロジェクトの決定を正式に発表していない。こうしたことから市は、誘致向けた市のバックアップ体制を強化するために推進室を設置した。
宮川市長は記者会見で「一日も早い正式決定に向けて、市の支援がスムースに進められるよう官民が連携する組織をつくった」とねらいを説明した。
推進室の大きな仕事となるのが、燃料となる、山に打ち捨てられた林地残材を効率的に収集し、運搬するシステムの構築。松本氏は記者会見で「林地残材を集めて運ぶことは、我々にとっても今までに経験のない仕事になるが、効率のいい体系をつくれるよう努めたい」と意欲を見せた。
松本氏は市役所時代、林業関係の分野で約30年間にわたり仕事にあたった。平成19年4月には産業部長に就任し、平成20年3月に定年退職した。その後、オホーツク健康プール「ステア」の館長を経て、オホーツク中央森林組合の代表理事専務などを歴任。今年8月から紋別木材協同組合の副理事長を務める。今回の人事では、松本氏が木材協組から市役所に派遣された形をとり、推進本部では事実上の現場リーダーの役割を担う。
宮川市長は松本氏を起用した理由について「住友林業や林野庁、地元の企業に太いパイプを持ち、行政経験もある」と述べた。
推進本部は棚橋本部長、松本副本部長の下に、誘致推進室を設置し、産業部長の村井毅氏が同室長を兼務。課長職に徳正修一参事、黒木主税参事の2名、また係職の主任2人を配置する。
市職員の人事異動は13日付けで行ったが、松本氏の任命は20日付け。