循環型エネルギー社会を目指して―。面積の96%が森林の群馬県上野村が、廃材をペレットと呼ばれる燃料に加工し、学校や村営の温泉などのストーブで利用する取り組みを進めている。森林資源を地産地消し、化石燃料を使わず、二酸化炭素排出量を減らす試み。村は「廃材から作ったエネルギーを村内で循環させることができ、森林整備も進む」と話す。 (池田一成)
林業が主要産業の村は二〇一二年、廃材からカプセルのような形をしたペレットを作る工場を建設。山に切り捨ててくるカラマツやスギの木材をほぼ無償で引き受けたり、市場で値がつきにくい木材を低額で買い取ったりしてきた。
間伐材を森林から搬出することで森林整備が進み、村の廃材購入により、地元への経済効果もあるという。
家庭用ストーブのペレットはカラマツを使う。工場で木片を砕き、機械の生産ラインに乗せると、一時間で約八百キロのペレットを生産できる。昨年度は四百八十トンを生産。本年度は七百トンを、最終的に年一千トンを目標にしたいという。
JAで十キロの小袋を四百二十円で販売中だ。ストーブの性能にもよるが、ペレット二十キロ分と、灯油十リットル分がほぼ同じ発熱量で、灯油が一リットル八十四円より高いとペレットの方が安い計算という。「いまの灯油価格ならペレットの方が得」と上野村の担当者。
ペレットストーブやボイラーは、中学校や保育所、温泉施設などの公共施設九カ所、村営住宅二十七戸で導入済み。村民に使ってもらうため、ストーブや煙突の工事費などの補助も始めた。まだ申し込みは少ないが、村は「保育所では燃料代が半分になったと喜ばれている」と話す。
今年は、ナラの木でおがくずを作り、菌床シイタケ栽培に活用する工場も併設し、稼働に向け試験中だ。
上野村経済課の佐藤伸係長は「将来、冷房にも活用できれば」と期待を膨らませている。