俳優の染谷将太、長澤まさみ、伊藤英明が出演する映画『WOOD JOB(ウッジョブ)!~神去なあなあ日常』(2014年初夏公開)が7月31日にクランクアップし、三重県の山間部を中心にした過酷なロケを終えたキャストがコメントを寄せた。
同作は、作家・三浦しをん氏のベストセラー小説『神去なあなあ日』」を原作にし、大木を切り倒す「伐倒」や、20メートルに及ぶ高所での「種取り」など、本格的な「林業」を通してそこに携わる者たちを描く、矢口史靖監督による青春林業エンターテインメント。1ヶ月半に渡るオールロケの撮影を終えた各キャストのコメントは以下の通り。
■染谷将太
林業という特殊なモチーフを扱った映画を、CGをほとんど使用せず役者も吹き替えなしでやるというこだわりが、最近の映画ではあまり無い部分だと思うので、そこに加担できるということがだんだん嬉しくなりました。
今作の撮影で学んだのは、相手が自然だと何が起こるかわからないという事です。誰も想像しない角度からの風が吹いたら、思いもよらぬ方向に木が倒れて事故につながる。「木も生き物なんだな」と思いました。山の中は、街で映画の撮影をしている時と時間の流れ方が違いました。今振り返ると、撮影は1ヶ月半位ですが、不思議な時間を刻んでいたように思います。
35mmフィルムの撮影は年に1、2回あるかないか。ましてや自分が主演でフィルムの映画に出ることは一生ないな、と思っていたので、そういう意味でもこの作品は宝物です。
■長澤まさみ
出てくるキャラクターの個性が際立っていて、人の温かさ厳しさが伝わり、人との繋がりを持って生きたいと思える作品だと思います。豪華なキャストの皆さんと個性豊かな現場の方々に囲まれ、自分もどのように演じていこうか考えるのがすごく楽しかったです。
山に神様がいるといわれるように、木も植物も生きていて命あるものなので一筋縄ではいかず、「人間が思うとおりに事が運ぶなんてことはないんだ」と感じました。生きているものに対してちゃんと接する、向き合う、という姿勢が林業の人たちに感じられ、生半可な気持ちで撮影に臨んではいけないと思わされました。
染谷くんは年下なのに先輩の貫禄があり、落ち着いた人。オーラに圧倒されつつ、私も頑張らなきゃと思いました。
■伊藤英明
林業のプロ中のプロという役どころを演じたのですが、山の中での作業は、やはり危険も伴うし、少しの角度の違いや風などでも(木が倒れる方向が)変わってきてしまう。また撮影となると、「これ一回にかける」という、芝居とは別の部分での緊張感がありました。自然相手に、木を切るというところでは、今までにないプレッシャーを感じながら撮影に挑みました。僕らよりずっと長く生きている木を倒させてもらっている。かつてない感謝の気持ちを感じました。
染谷くんと一緒に演技できるというのは、この作品を受けた要因にもなっています。すごく繊細な感じだけど芯はものすごく骨太で、実は芝居以外は全て苦手なんじゃないかと思うくらいこの仕事が合っている。彼と芝居で向き合うと、いろんなエネルギーをもらえました。映画は2時間ほどになると思いますが、1年間の時間の積み重ねは芝居の中で出せたんじゃないでしょうか。