2013年7月30日
世界最大の樹木とされる米国カリフォルニア州のジャイアントセコイアの森を、日本の間伐技術で再生する試みが始まっている。計画を進めているのは、米国生まれ、カナダ育ちのツリークライマーで中部大学教授、ジョン・ギャスライトさん(51)(愛知県瀬戸市)=顔写真=。仲間とともに10月に渡米し、ボランティアで若木の間伐や生育を邪魔する樹木の除伐を行う。
ギャスライトさんは、ロープと特別な器具を使って木に登るツリークライミングの楽しさを広めているほか、クライミング技術を使い、高木の枝の剪定(せんてい)や伐採をするアーボリスト(樹護士)の国際資格を取得している。
1998年、ジャイアントセコイアに登るため同州のシエラネバダ山脈を訪れた際、セコイア国立公園に隣接し、約600ヘクタールに及ぶ森を所有する林業家のソニーさんと出会った。ソニーさんの森にも、モミやマツに交じって樹高80メートルを超えるジャイアントセコイアがそびえていた。
ソニーさんとの交流を通じて、ジャイアントセコイアは樹皮が数十センチと厚く、昔は山火事でセコイアだけが残ったものの、今は消火活動によりモミやマツが残って茂り、生態系を狂わせていることが分かった。
ギャスライトさんは「日本の間伐技術で森を再生させられる」と保護計画を提案。実現を期待していたソニーさんは2011年に94歳で亡くなったが、昨年8月、森林所有者でつくる保護団体の許可を得て、間伐・除伐を始めた。ジャイアントセコイアを傷付けずに周囲の木を伐採する高度な技術や、森を明るくした実績が評価され、今年も日本人アーボリストらとともに、約1週間かけて作業を行うことになった。
「日本流の森への敬虔(けいけん)な態度が現地の人たちの信頼につながっている。ジャイアントセコイアの森を再生するというソニーさんの夢を実現したい」とギャスライトさんは話している。
(2013年7月30日 読売新聞)
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