2013年7月29日
所有者や境界が分からない森林が増え、効率的に間伐できなかったり、防災計画の見直しが必要になったりする問題が生じている。林業の衰退に伴い、山への関心が薄れたことが背景にある。国も啓発を始め、山主が顔を合わせて境界画定を始めた自治体もある。 (吉田瑠里)
今月初め、愛知県新城市の鈴木一三六(いさむ)さん(65)は、父から相続した市内の山の所在地の調査報告をNPO法人から受けていた。「一回父に連れられて行ったことはあるが、どこかよく分からない」。両親は十五カ所ほどの山を所有し、姉のスミ子さん(69)は「登記上、私のひいおばあさんの名前のままの山もある。ひ孫の代になると連絡が途絶えている親戚もあるから」とため息をつく。
調査したNPO法人「穂の国森林探偵事務所」は、鈴木さんの父が残した手描きの地図や写真を手掛かりに森林を歩き、衛星利用測位システム(GPS)を使って緯度・経度で境界の仮くいの位置を記録し、地理情報システム(GIS)で地図と重ねて見せた。手描きの地図と公図の形は違う部分があり、生えている木の年代の違いを手掛かりにした。
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