私たちフォレストバンクの間伐による二酸化炭素削減分を国内排出権取引として売却する事業が日本郵便に採択されました。
那賀町で林業を営むフォレストバンク(徳島市)は、山林の間伐による二酸化炭素(CO2)の削減分を、国内排出量取引で企業などに売却する事業を進めている。この事業が郵便事業会社(日本郵便)の2010年度「カーボンオフセット年賀寄付金配分事業」に採択された。徳島県内の採択は初めて。
同社が進めるのは「徳島県那賀郡那賀町における森林吸収源事業」。同町木頭地区に所有する山林128ヘクタールを間伐し、CO2などの温室効果ガス吸収量増加分をクレジット(排出削減量)化。2009年度から5年間の平均で年間排出削減量1347トン分のクレジット発行を見込んでいる。
日本郵便は、温室効果ガスを排出した分、植林など排出削減事業に取り組んで相殺する「カーボンオフセット」に参画。この仕組みの社会的認知度を高め、地球温暖化防止に理解を深めようと、年賀による寄付事業を07年度から展開している。年賀は1枚あたり定価55円で販売され、購入者が5円を寄付。日本郵便も同額の5円分を負担する(寄付金は1枚あたり10円)。
本年度は19件の事業を採択。寄付金総額は1億5650万円で一部が排出権取引に使われる。フォレストバンクは、日本郵便からNPO法人を通じて寄付金を受け取る。売却益は地域の山林管理などに充てられる。
同社は07年設立。林業のほか、四国の山林資源の調査・研究やバイオマスエネルギーなど森林共生型次世代エネルギー活用の研究も行っている。岡田育大(いくひろ)社長(30)は「事業採択で、徳島県での排出権取引や山林再生の活性化に弾みがつけば」と話している。
カーボンオフセット 企業活動や生活に伴って発生し、削減が難しい温室効果ガス排出を、自然エネルギー利用や森林保護など別の場所で実施された削減事業に資金を提供することで埋め合わせる仕組み。CO2に換算した「クレジット」と呼ばれる証書の形で取引される。英国が発祥で欧米企業などに拡大。日本では環境省が昨年、認証制度を創設した。炭素(カーボン)を相殺(オフセット)するとの意味。
【写真説明】日本郵便の寄付金事業で徳島県内で初めて採択されたフォレストバンクが管理する山林=那賀町(同社提供)
徳島新聞より抜粋
2010.6.16