新委託方式で早期着手 県の民有林間伐除染

2013/02/10

森林02~1

平成25年度から民有林約18万3千ヘクタールの間伐による除染を実施する県は、発注までの期間を半分以下に短縮する。企業体などの外部組織に計画策定や同意取得などの業務を委託する「CM(コンストラクション・マネジメント)」と呼ばれる新方式を導入。作業主体となる市町村の負担を軽減し、間伐除染の早期着手を目指す。監督業務も含め、「手抜き除染」を監視する。県は4月までに市町村単位に外部組織を設ける考えだが、組織を担う人材確保が課題となる。
 外部組織は林業、建設業の関係団体や事業者などによる企業体を想定している。作業全体の計画づくりや放射線量測定、所有者の同意取得、作業道設計など発注までの業務を市町村から一括して受託する。
 業務ごとに専門的な知識を持つ担当者が得意分野を受け持ち、組織を統括するマネジャーが分野ごとの計画や調査結果を集約する。市町村はマネジャーからの報告に基づき、業者に間伐作業、作業道整備などを発注する仕組みだ。
 市町村が組織に委託する費用については、県が平成25年度当初予算案に計上した間伐による除染関連費用から補助する方針。
 県によると、広大な森林の環境回復では、計画策定などの事務作業量が多く、発注までに半年以上かかる。新方式では、外部組織が請け負うため、事務作業に要する期間を半分以上、短縮できるとみている。林業分野でこの方式を採用するのは全国で初めてという。
 市町村が作業を発注した後は、外部組織のメンバーが現場を訪れ、業者による作業道整備や間伐の状況を随時、監視する。伐採した樹木の一時保管など適切な管理を指導し、放射線量の低減効果をチェックする。計画策定を担った組織が第三者の視点で作業を確認するため、「手抜き」など不適正な作業を防ぐメリットもある。
 県は市町村や業界団体と調整し、4月までに複数の外部組織を発足させ、作業の実施態勢を整える。
 ただ、市町村単位に作業に精通した組織をつくるには、関連業者や専門知識を持つ人材をいかに確保するかが課題となる。県は全県的組織網を持つ業界団体と連携し、人材の発掘や派遣などの調整に努める。県農林水産部は「市町村の業務負担を軽減しながら、森林環境の回復を加速させたい」としている。

■25年度は3000ヘクタール 対象拡大も検討
 県は民有林の間伐による除染について、平成25年度は約3千ヘクタールを対象とする方向で調整している。最終的には年間被ばく線量が1ミリシーベルト以上の18万3千ヘクタールで実施し、20年程度で終える計画だ。
 ただ、会津地方などを中心とした1ミリシーベルト未満の森林でもキノコなど林産物に放射性物質の影響が出ていることから、対象範囲の拡大も検討する。
 国有林も並行して作業を進めるよう、国と協議している。

福島民報


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