タワーも線路もできちゃうよ 田鶴浜建具で積み木

2012年11月9日

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内灘町千鳥台の千鳥台幼稚舎では、園児たちが、能登産の間伐材を使った積み木で、遊んでいる。伝統の「田鶴浜建具」を受け継ぐ永江建具製作所(七尾市)に、積み木の製作を依頼した。幼稚舎理事長の新保善正さん(71)は「間伐材の利用の拡大や、建具技術の新たな応用にもつながる上、何よりも、子どもたちが本当に楽しそうに遊ぶんです」と話す。(高橋健一)

中日新聞

 約四千個ある積み木は、長さ一四・四センチ、幅二・四センチ、厚さ八ミリに統一。差し込むための四角い穴(幅八ミリ)の場所が違ったり、穴がなかったりする六種類がある。間伐材はヒノキを使用していて、心地いい香りが漂う。

 約三百六十年の歴史があるという田鶴浜建具。積み木には、くぎを使わず、木材を組み合わせる「組子(くみこ)」と呼ばれる技法を使っている。組子は、一度差し込んだら離れないが、幼稚舎の積み木は園児の力でも離せるように調整してあるという。製作所代表の永江栄毅さん(70)は「簡単に見えるけど難しい。大きさがコンマ一ミリ以上違うと、グラグラしてしまう」という。

 もともと県工業試験場の研究職だった新保さん。幼児教育に積み木を取り入れようと、今年四月、永江建具製作所に声を掛け、実験的に作ってもらった。もともと県工業試験場の研究職だった新保さん。幼児教育に積み木を取り入れようと、今年四月、永江建具製作所に声を掛け、実験的に作ってもらった。

園児たちは積み木で遊びだすと、時間を忘れてしまうよう。高さ二メートルある「タワー」や、列車の模型を走らせる長さ三メートルの「線路」を組み立て、飾っている。新保さんは「積み木は無から有を生むもので、脳の働きに効果がある。子どもたちに、伝統の技術を身近に感じてほしい」と期待。

 永江さんは「建築様式も変わり、業界は厳しい状況。積み木が新たな切り口になれば」と期待している。


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