県の森林環境税、自民の調整案

2012年11月08日

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県が2014年度導入をめざす森林環境税で、自民党県議団が県民負担を年間1千円とする案を軸に調整に入ったことがわかった。県が設けた有識者会議の提言より300円多く、導入時期に首長から疑問も出る中、県は2案の間で難しい判断を迫られそうだ。

 有識者会議の提言は、個人住民税を納める県民は年間700円、法人は資本金などに応じて課される法人県民税を7%上乗せするというもの。税収規模は約8億2千万円を見込む。

 これに対し、自民党案は県民は1千円、法人は10%の上乗せ。税収は約11億7千万円を見込む。

 2案とも県が素案で示した500~1200円の範囲内。ただ、有識者案は、2014年度から復興増税で個人住民税が千円上乗せされ、消費増税も始まることを念頭に置き、金額を抑えた経緯がある。

 大きな違いは使途だ。

 県は、河川を汚す生活排水処理の強化を掲げ、新税を合併浄化槽の普及にも充てる方針を持っていた。

 しかし、有識者会議は、目的税である以上、使途を明確にすべきだとし、森林関連の事業を重視。排水処理は一般会計の事業でふさわしくないとの声も出て、事業費を絞る案を示した。

 これに対し、自民党は使途の約6割を森林関係とする一方、合併浄化槽設置にも毎年3億円程度充てる案を検討中で、河川環境の整備に積極的。それ以外の使途は、第三者の検討委員会を新設して決め、成果も検証するとしている。

 自民党県議団のワーキンググループは、同様の税を導入済みの県を視察するなどして検討してきた。新税の県議会特別委員会で9日に参考人の意見を聴き、全所属県議に説明したうえで、今月下旬に党の独自案をとりまとめる。

 委員会は自民が過半数を占め、自民案を軸に県議会の案も集約される見通し。このまま進めば、県が当初描いた来年2月議会への条例案提出が可能になる。

 ただ、単に県議会の案に乗るだけでは有識者会議が約5カ月かけてまとめた提言を反故(ほご)にする形になり、太田市の清水聖義市長が導入時期や県民税への上乗せに疑問を示すなど異論も出ている。県幹部は「有識者会議と県議会の双方の提言を踏まえて判断したい」と話す。(長屋護)

朝日新聞