2012/10/30
長浜博行環境相兼原発事故担当相(54)は29日、就任後初めて福島民報社の単独インタビューに応じた。東京電力福島第一原発事故に伴う県内の森林除染について、間伐や伐採など従来の森林施業と併せて実施する方策を探るため、関係省庁とワーキンググループを設けることを明らかにした。さらに、除染の加速化に向けた対応策となる「除染推進パッケージ」の詳細を30日、公表するとした。福島環境再生事務所への権限委譲の具体的な内容が柱となる見通しだ。
■除染加速化策きょう詳細公表
長浜氏は、福島県内の森林面積は約97万ヘクタールに及び県土面積の7割を占めていることに触れ、「県民生活と森林は密接な関係にある」と指摘。県や県内自治体、林業関係団体から強い要望の出ている森林除染について「間伐や伐採など従来の森林施業を含めて効果のある方法を考える」と強調した。
林野庁、農林水産省などの関係省庁とワーキンググループを設置し、事務レベルで協議を開始する。
ただ、「(広大な面積の)森林除染の手法を検討しないままで進めても効果はない」と述べ、国が住宅地の近隣約20メートル範囲で実施する、落ち葉や枝葉除去などの除染による放射線量の低減効果を見極めて対応策を検討する考えも示した。
住民が利用する沢水については「関係機関と連携し、モニタリング体制を強化している」と語った。
環境省は今年7月、森林全体の除染について「不要」とする方針を示した。県は「県復興計画に掲げた林業再生策が頓挫しかねない」と反発し、当時の細野豪志環境相が方針を見直す意向を示した。
一方、同省の有識者検討会は9月、「調査研究を進めた上で判断することが適当」とする中間報告を取りまとめており、国の対応に注目が集まっている。
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環境省が30日、公表する「除染推進パッケージ」の詳細には、除染のスピードアップに向けて、これまでは本省の判断を仰いでいた自治体の除染方法採択を福島環境再生事務所に任せる内容や補助金算定の改定案などが盛り込まれる見通しだ。
長浜氏は「除染の加速化は野田首相の指示であり、住民、自治体に丁寧に説明しながら進めていきたい」と意欲を見せた。
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