切り捨て間伐材で発電 日田の企業が来秋事業化

2012年9月27日

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スギやヒノキなどの木材価格下落に伴い、間伐しても森林に放置される市場価値の低い「切り捨て間伐材」を有効活用しようと、県は、木質バイオマス発電の燃料に利用する試みをスタートさせる。日田市の企業が始めるバイオマス発電に助成し、企業側が切り捨て間伐材を林業経営者から買い取って発電に使う。間伐を進めて木材の質を高めるだけでなく、林業収入を増やし、再生可能エネルギーの生産にもつなげる「一石三鳥」を目指す。

 県によると、県内の切り捨て間伐材は、年間推計約40万立方メートルずつ増えている。バイオマス発電に建築廃材を使う例は多いが、切り捨て間伐材を燃料にするのは、国内でも珍しい試みという。

 発電は、バイオマス発電開発の「グリーン・サーマル」(東京)の関連会社「グリーン発電大分」(日田市)が実施。同市天瀬町の日田郡森林組合の敷地内約2ヘクタールを購入し専用プラントを建設。切り捨て間伐材や通常の間伐材をチップ状にして燃焼させ、蒸気でタービンを回す。出力は一般家庭1万戸分に当たる5700キロワットで、全量を売電する。総事業費は約20億円。来年11月に稼働予定。

 グリーン発電大分が昨年、県に構想を提案。7月に再生可能エネルギー固定価格買い取り制度が始まったことを受け、事業化を決めた。「森林整備加速化・林業再生基金」から同社に8億円を助成する。同社は年間約10万立方メートルの木材を買い取る計画で、森山政美社長は「日田の森林は原木が豊富な一方、放置された間伐材も多い。森林再生にもつながる仕組みではないか」と話す。

 県林産振興室は「細い木や曲がった間伐材は出荷しても採算が合わないことが多いが、引き取り手があれば収入になる。発電が林業活性化につながれば事業拡大も検討したい」と話している。

西日本新聞


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