放置森林の保全・整備が最大課題 集約化促進事業で里山再生へ

2012年8月19日

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里山の元気を取り戻そうと、福井県大野市は本年度から森林保全・整備に一層の力を注いでいる。2期目の折り返しを迎えた岡田高大市長は6月定例市議会で、今後2年間のビジョンの最大課題に「森林」を挙げた。生活用水のほとんどを、地下水に頼っている同市にとって森林は、水源地としての役割も大きい。取り組みの現状を追った。

 ■働き掛け

 市は本年度から間伐材搬出に対する経費の補助増額や、森林の売買相手の事前届け出を義務付ける「森・水保全条例」(仮称)制定に向けて取り組んでいる。中でも森林所有者らの関心を集めているのが「里山集約化促進事業」だ。

 戦後、盛んに植樹された森林は40~50年がたち、収穫期を迎えつつある。しかし木材価格の低迷などによって大部分が、適切な間伐をされずに放置されているのが実態だ。

 集約化促進事業の主な内容は、国の「森林・林業再生プラン」の一つの柱である「森林施業の集約化」に沿っている。所有者がばらばらの森林を5ヘクタール以上の規模に集約。作業道を造り、高性能機械で間伐することで、作業コストの低減を図る。

 これまで集約化は九頭竜森林組合が主体となって取り組んできたが、市の促進事業では市職員らが集落に出向き、所有者の合意形成に向けて直接働き掛ける点が特徴。市によると、行政が直接関わるのは全国的にも珍しいという。同森林組合や県と連携しながら、越前おおの農林樂舎と取り組んでいる。

 「本当に自己負担ゼロでできるのか」「どのように作業道をつけるのか」。6月に市内で開かれた説明会には平日夜にもかかわららず、里山周辺35集落の代表者ら約50人が参加した。市職員らの説明に、次々と質問が出され、関心の高さを伺わせた。

福井新聞


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