ヒノキ間伐材でギター制作…三重・松本さん

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フォークギターを趣味で作り続けている三重県名張市西原町の市職員松本孝寿(たかひさ)さん(47)が、尾鷲ヒノキの間伐材を使った異色のギターを初めて完成させた。弾いたギタリストからも「いい響き」と好評で、大紀町で来月5日に発表会が開かれることになった。

 松本さんは高校時代からフォークギターを弾いている。2000年、テレビ番組を見て、ギター作りを教える工房が大阪府にあると知り、「自分が好きなギターを作るのも面白そう」と習い始めた。約8年間、週1回、大阪に通って技術を磨き、09年1月からは一人でギターを作り始めた。これまでに13本のギターを仕上げ、「松ギター堂」の屋号で東京や大阪の展示会にも出品してきた。

ヒノキギターで練習する垣内さん親子

 尾鷲ヒノキを材料にしたきっかけは、民間の森林体験施設「ひのき家」のショールーム「グランビル滝原」(大紀町)の堀木元木(もとき)店長(29)からの提案。堀木さんは間伐材の活用法として思いつき、木材を提供した。

 松本さんは、使い慣れたカナダ産で、マツ科の木材スプルースなどより堅く、音が響きにくいことに気づいた。通常の約3ミリより0・2ミリほど薄くしたところ響きやすくなり、約4か月で完成させた。

 発表会にも出演する松阪市の親子バンド「RAMO(ラモ)」のギター担当・垣内章伸さん(49)は、ヒノキギターを弾いてみて「音に非常に伸びがあり、最高のできばえ」と満足そうだった。

 発表会では、県内を中心に活動するアコースティックギタリストのイケヤマアツシさんらがヒノキギターを奏でる。大紀町の木工作家越仮裕規(こしかりひろのり)さんが尾鷲ヒノキの間伐材で作った、南米発祥の打楽器「カホン」も、垣内さんの息子の楽守(らも)さん(18)らによって演奏される。松本さんは「音は温かく、張りがある。多くの人に聞いて、良さを知ってほしい」と来場を呼びかけている。発表会はグランビル滝原で8月5日午後1時から。入場無料。ライブ後に、ヒノキギターやカホンを手にとって演奏できる。問い合わせはグランビル滝原(0598・86・3709、火、水曜は休み)へ。(沢村宜樹)

読売新聞


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