森林売買規制を検討

2012年6月28日

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外国法人や個人による水源地周辺の土地買収が全国で相次いでいることを受け、県は27日の県議会6月定例会一般質問で、水源地周辺の森林売買を規制する条例の制定を目指す方針を明らかにした。同様の条例は北海道や埼玉、群馬県にあり、制定されれば全国4番目。県内で買収の事例は確認されていないが、県は「水と、水を育む森林を守るため、早急に検討を進めたい」としている。(藤沢一紀)

国は森林法を改正し、土地や森林取得後の届け出について、1ヘクタール未満の売買についても、4月から新たに義務付けた。これについて、県林政課は「後で取引を把握するのでは不十分」とし、条例では、取引前の一定期間内に知事への届け出を義務付ける考えだ。

県の森林は86万2000ヘクタール、面積に占める割合は8割で、47都道府県で2位を誇る。このうち、民有林の3割の21万3000ヘクタールが、同法の「保全すべき水源林」として位置づけられている。

一方、外国法人などによる森林の買収は拡大しており、農林水産省と国土交通省の調査では、昨年、北海道や群馬、神奈川、沖縄の4道県で、前年の約4倍の計157ヘクタールが買収された。

買収の目的として、「飲料水確保に悩む国が水源地を占有しようとしている」「富裕層による投資」などの見方がある。林業の衰退と高齢化で、土地を維持できない所有者が増えたことが背景にあるとされる。

県は、利用目的がはっきりしないまま水源地が乱開発されれば、県民生活が脅かされると懸念。条例による規制のほか、市町村による公有林化を促す考えだ。 県は「全国の事例は『氷山の一角』。行政の目が届かない取引を規制するためのルール作りも必要だ」としている。

読売新聞


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