土佐の鬼才、森林のブランド化に挑む

2011年8月22日
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カネを生まない山林を誰もが欲しがるブランドに――。そんな荒唐無稽な夢を実現しようと奮闘している人がいる。梅原真氏、61歳。高知県香美市に住むグラフィックデザイナーだ。

価値のないモノをブランドに

 身長182cmの大男。唇は分厚くて、魯山人のような黒縁の丸眼鏡をかけている。本質的には笑わせるのが好きなお茶目な人だが、曲がったことが嫌いで、「違う」と思った時はクライアントであっても容赦なく叱り飛ばす(私も実際に見たことがある)。通常では滅多にお目にかかることのないタイプのデザイナーと言っていい。

 それでも、その実績は高く評価されている。

全国的に有名な馬路村農協の「ぽん酢しょうゆ ゆずの村」のビンは梅原氏の手によるデザイン。島根県海士町の特産品、「島じゃ常識 さざえカレー」のパッケージも梅原氏のデザインだ。さらに、高知県黒潮町の海岸線に広がる「砂浜美術館」、古新聞を折って作った「四万十新聞バッグ」などのコンセプトを提示したのも梅原氏である。

 最近では、秋田県が進めるイメージアップ戦略のアドバイザーに就任した。秋田県は自らのイメージを磨き上げ、その魅力を全国に発信していこうと考えている。その目標を実現するために、プロデューサーとしても名高い梅原氏に白羽の矢を立てたというわけだ。ここ数年、梅原氏に対する注目度は増している。

 (※梅原氏をより詳しく知りたい方は以下の書籍をご覧下さい。梅原氏の半生を描いた拙著『おまんのモノサシ持ちや』、梅原氏の手による作品集『ニッポンの風景をつくりなおせ』)

 全国的に活動の場を広げつつある梅原氏。実は、2年前からあるプロジェクトを進めている。それは、「はちよんプロジェクト」。高知県の森林をブランド化しよう、という取り組みだ。

日経ビジネスオンライン


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