古来種守り「えびすの森」再生 西宮神社プロジェクトに成果

2011.7.23
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都市部の鎮守の森が衰退する中、商売繁盛の神様「えべっさん」の総本社、西宮神社(兵庫県西宮市)の森で、境内にあるクスノキの苗を使って若木を育てるプロジェクトが成功し、6本の苗木が成長。数年がかりで事業を進めてきた神戸大農学研究科の石井弘明准教授(森林生態学)によると、来春には植樹できる状態になった。外来種の浸食を食い止め、古き良き鎮守の森を未来へつなぐための貴重な取り組みで、他地域での活用も期待される。

 西宮神社の森は、広さ約2・5ヘクタール。千年以上前に形成されたとみられ、「えびすの森」と呼ばれて親しまれる。昭和20年の空襲でダメージを受けたが、その後回復し、36年には県の天然記念物に指定された。

 しかし、石井さんが平成15年に境内を調査したところ、外来種であるシュロが650本と最も多く、古来種の成長を阻んでいることが判明。そこで、樹齢300年のクスノキの子孫を育てるプロジェクトがスタートした。

 17年にシュロをすべて駆除したが、若木が芽吹く気配がなく、20年にクスノキの古木の枝から110本の苗を取って育成を開始。4年目の今年、6本が約90センチに成長し、来春植樹のめどが立った。

 石井さんによると、都市部にある神社の森は、西宮神社と同様に、外来種に侵されているところが少なくない。だが、こうした再生プロジェクトはほとんど行われていないのが現状。古木の枝から苗木を育てる手法で植樹に成功するのも異例だという。石井さんは9月、日本緑化工学会で今回の事例を発表する。

MSN産経ニュース


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