ヒツジ減少で温暖化、エイプリルフール

2011/04/04

ニュージーランド南島でのどかに草を食むヒツジたち。“まじめ”な気候科学Webサイト「RealClimate.org」が、「地球温暖化の原因は、大気中の温室効果ガス蓄積ではなく、ニュージーランドのヒツジの生息数減少」と報告したのは、2007年のエイプリルフール。

 ニュージーランド獣医気候学研究所(New Zealand Institute of Veterinary Climatology)の科学者ユー・ノー・ワット(Ewe Noh-Watt)氏が同サイトで、「ニュージーランドにかつて大量に生息していた白いヒツジは、太陽光を宇宙にはね返し、地球のアルベド(地表面が太陽光を反射する割合)を高めていた」と説明した。光を反射する巨大な群れが存在しなければ、太陽光が大気中に閉じ込められたままになるという。

「さらに悪いことにヒツジの減少は、不安定化をもたらすフィードバックメカニズムにつながる恐れがある」とノー・ワット氏は続ける。「気温が上昇すればウールセーターやウール肌着に対する需要が減るのは自明の理だ」。

 ヒツジの飼育数が減少方向に向かい、さらに温暖化が加速することになる。「極端な場合には、“暴走的シープ・アルベド・フィードバック(runaway sheep-albedo feedback)”を引き起こしかねない。金星が現在のような酷熱の気候になったのは、このメカニズムが原因と考えられている」。報告については、Webサイト「ウソの歴史博物館(Museum of Hoaxes)」で確認できる。なお、「ニュージーランド獣医気候学研究所」は実在せず、「ユー(Ewe)」はメスヒツジの意味である。現実の気候プロセス「アイス・アルベド・フィードバック」では地表面の氷の量によって太陽光の反射率が増減する。

Photograph by Paul Chesley, National Geographic

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