みなべ町国道沿いのフェニックス枯れる

2011年5月15日

みなべ町の国道42号沿いで南国ムードを漂わせて観光客から好評となっている名物のフェニックス並木が、 外来の大型甲虫に食べられて枯れる被害が相次いでいることが、 町生活環境課の調べで分かった。 ヤシ類を枯死させるとされるヤシオオオサゾウムシが寄生し、 幼虫が幹の中を食い荒らしているのが原因。 日高・紀南地方で同様の被害が目立ってきているが、 伐採以外に有効な防除がなく、 被害の拡大が懸念されている。
 
 同町芝から埴田地内にかけて約1㌔間の42号沿いでは、フェニックス十数本とワシントンヤシ合わせて約80本が植えられているが、このうちフェニックス3本が被害に遭っている。町によると、一昨年に1本が枯れたときは詳しい原因が分からなかったが、昨年秋に他地域でのゾウムシによる被害を報道で知ったという。その後、今月までに2本が枯れているのを確認した。ワシントンヤシにはいまのところ被害は出ていない。
 
 海南市の県立自然博物館でゾウムシを研究している的場績専門員によると、ヤシオオオサゾウムシはフェニックス上部の大きな葉の付け根に穴を開けて産卵し、幼虫が幹の中を食い荒らす。田辺市や白浜町でも同様の被害が報告されている。日高地方でも昨年秋、印南町役場前に植えられていたシンボルともいえるフェニックスがゾウムシの食害で枯れている。ヤシオオオサゾウムシは東南アジアなどに生息していた外来種で、日本には1990年代に上陸し、広がっている。的場専門員は「幹の中にいるため消毒薬をかけてもあまり効果がなく、伐採して焼却処分するのが最善の方法。成虫は飛んで別の木に産卵するので、今後は紀北にも被害が広がる危険性は十分ある。注意してほしい」と呼びかけている。みなべ町生活環境課では、枯れたフェニックスは倒れると危険なため近く伐採することにしており、「30年以上前に植えられ、一時はフェニックス通りといわれるなど国道沿いのシンボルだっただけに残念。有効な対策が見当たらないので、ほかに移らないよう願っている」と話している。
 
 同町の国道沿いには昭和50年代にフェニックスがたくさん植えられて名物となっていたが、道路の拡幅などの影響で、幅を取るフェニックスに代わってワシントンヤシが多くなっている。いまではヤシの木通りともいわれている。

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