2011年05月13日
国土保全に大きな機能を果たす森林。面積の7割近くを森に覆われた日本は、世界有数の「森の国」だ。ちなみに世界の森林率は3割。先進国の中でもトップクラスの森林率を誇りたい▲
全森林の面積のうち自然林はおよそ半分。4割が人工林で、残りが竹林などの構成だ。それぞれに、生態系や多様性の保全、気候変動の緩衝、保水や表土流出の防止などで、暮らしを支えてもくれる▲
ただ、林業の衰退などで人工林の環境は激変。手入れされないままに表土が流れ、林内は荒れる一方だ。気象や生態系の微妙な変化で生物の分布も狂い、偏り、自然林も危ない▲
その危機的状況にある森を、外国資本が買収する動きがある。2010年には計10件、45ヘクタール。北海道や東北などの森を、香港やシンガポール、ギリシャなどの個人や法人が買収した。資産や別荘として保有しているという▲
国際化が進む中、日本の森にも多様な価値観が持ち込まれていると解釈はできる。一方で、自治体への届け出が必要ではあるが使途までは縛りがかからない。林野庁が、不適切な伐採や開発を行わないよう注視する方針だ▲
古来、森と共存し、そこにすむ生物たちの息吹を一番知るのは地元住民。日本固有の自然が持つ意義を各国の所有者に理解してもらえれば、あるいは「森の国」の良さを世界にアピールするチャンスにもなろうか。
2011.05.13. 愛媛新聞オンライン
タグ: 森林, 海外 :: IN THE WORLD