全国備長炭会議 課題などで意見交換

2011.03.12

5月の全国植樹祭を前に森の恵みである木炭のブランド「備長炭」について考えようと、全国備長炭会議(県木炭協同組合、県共催)が11日、和歌山県みなべ町のホテルであった。和歌山など5県の製炭者代表や都市部の流通関係者、行政の担当者ら約100人が参加し、座談会では備長炭の生産や流通の現状、課題などについて意見交換した。

 森とともに暮らしてきた先人の努力の結晶である備長炭の製炭技術と豊かな森林を未来につなげようと「先人の知恵・技・心を未来へ―備長炭の発祥の地、紀州で語り合おう」をテーマに開いた。

 座談会には和歌山のほか、愛媛や高知、大分、宮崎各県の備長炭生産者、首都圏や近畿、中京の木炭流通業者、学識経験者ら計約30人がパネリストで出席した。司会は全国燃料協会の杉本正二専務理事が務めた。

 初めに林野庁特用林産対策室の担当者が木炭の課題として、需要の拡大や国内生産体制の強化、消費者への安定供給、木炭に対する信頼の確保を挙げた。続いて各県の木炭産地の代表者が製炭の現状を報告し、今後の課題として後継者育成や生産拡大、販路拡大、原木林の育成などを挙げた。

 引き続き流通業者が市場の状況を報告し、「紀州備長炭」は品質の高さから人気があるとして、安定供給や増産を求めた。それに対し、みなべ町の製炭者は「大量生産も分かるが、将来を考えれば資源を守ることが大事。生産量はいまがいっぱいいっぱい」と説明した。

 流通業者からは「一つの箱の中で、紀州備長炭は炭の太さにばらつきがある」との意見も出た。

 座談会に先立ち、谷田貝光克東京大学名誉教授が「木炭・木酢液の機能とその利用」について講演した。

 木炭の燃料以外の利用として防湿、脱臭、トルエンやホルムアルデヒドなど有害物質の吸着などを挙げ、「炭の種類によっても効果が違う。使い分ける必要がある」と説明した。木酢液についても触れ、植物成長の促進、雑草防除、消臭などの効果を挙げた。

<AGARA紀伊民報 2011.03.21.>
nk


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