生態系 つながり伝える 森林インストラクター 中村 弘さん76(高松市)

2011年1月31日

「木は、木だけで生きているのではなく、周りの環境と密接にかかわっていることを伝えるように意識しています」。子どもらとともに森の中を歩き、自然や森林の魅力を伝えている。
森林インストラクターは、動植物の生態系など森に関する幅広い知識を持ち、一般に広める役割を担う資格だ。

高松市出身。高校卒業後、四国電力で営業畑を歩んだ。定年が近づくにつれ、第2の人生を考えるようになった。「年を取れば趣味の登山もできなくなる。森林の勉強をすれば、頂上に行けなくても楽しめる」と、大学で学ぶことを決めた。

 57歳で退職し、社会人も受け入れる鳥取大農学部に入学した。森林生態学などを学び、2年の時に資格を取得した。

 卒業した15年前から活動を始め、香川では初めての森林インストラクターの会を発足させた。今は、ガイドの傍ら、荒廃する里山の手入れや、人工林の間伐を行うほか、森づくりのボランティアの育成講座で後継者たちを育てる。

 最近深刻化するイノシシやシカなどによる被害に心を痛める。「畑を荒らし、人を傷付けるのは悪いことだが、駆除だけが解決策ではない。動物たちとの付き合い方を学ぶことも大切」と思う。
様々な生物や、空気、土、水のつながりが凝縮されている森林の魅力を、これからも伝え続ける。(山田果生)
<読売新聞2011.01.31.>
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