「FSC認証」紙製品が森林を守る ビール・飲料の包材に導入拡大

bsd1710160500002-f1ビールや飲料の大手メーカーの間で、国際的な森林管理認証制度である「FSC認証」を取得した紙製品の導入が広がり始めている。製品を包装する紙容器やオフィスで使う事務用紙などの材料に着目し、違法伐採を防ぐなど森林の持続可能性に配慮した形で流通や加工が行われている木材の利用を後押ししていこうという取り組みだ。

サントリー食品インターナショナルは第1弾として、「サントリー天然水」の包材を、8月上旬製造分からFSC認証を取得した段ボールに切り替えた。同社によると、飲料メーカーとして段ボールの認証を受けたのは国内で初めてという。またサントリービールも、今秋からノンアルコールビール「オールフリー」ブランドでFSC認証の包材を採用し、他製品に順次広げていく。

FSC認証は世界の環境団体や林業組合、先住民団体などで構成され、ドイツ・ボンに本部を置く「森林管理協議会」が運営する制度。FM(森林管理)認証とCoC(加工・流通)認証の2種類が1993年創設され、日本ではNPO法人の「FSCジャパン」(東京都新宿区)が推進活動を行っている。環境省によると、国内では35カ所、40万ヘクタール以上の森林がFM認証を受けている。

ビール・飲料メーカーではキリンホールディングスも、グループ各社で「6缶パック」に使う紙容器を、年内にFSC認証製品へ切り替えると宣言した。それ以外の紙パックや段ボールは2020年末までに100%切り替え、コピー用紙やカタログ、封筒などもFSC認証紙か古紙再生紙を使う。グループでは年間10万トン以上の紙を使っており、資材調達先のメーカーに同認証の取得を要請する。

FSC認証は2012年ロンドン五輪・パラリンピックの資材調達で採用され、20年東京大会でも、メイン会場となる新国立競技場がCoC認証を受けた国産材を使って建設される計画。認証の取得を打ち出す家具メーカーも多く、今後、さまざまな場面でFSCのロゴマークを目にする機会が増えそうだ。

Sankei Biz