有害鳥獣として捕獲したシカやイノシシの有効活用を目指し、高知県高岡郡梼原町は8月12日、解体処理設備を搭載した車「ジビエカー」1台を全国で初めて導入した。集落活動センター「ゆすはら西」に配備し、食肉の供給事業を行う予定。行政関係者ら約60人が出席して納車の記念式典を行い、山の資源の産業化に期待を寄せた。
ジビエカーは、一般社団法人「日本ジビエ振興協会」(長野県)と長野トヨタ自動車が共同開発し、2016年7月に完成した。
車体は2トントラックがベースで、全長は約6・5メートル。獣は車外で洗浄し、箱形の荷台に備えた解体室で内臓摘出などができる。捕獲場所の近くに赴いて手早く処理した上で冷蔵できるため、運搬の負担が軽減でき、良質な食肉としての利用が期待されている。
梼原町では年間約1500頭のシカやイノシシが捕獲されており、町はそれらを資源として活用しようとジビエカーを2175万円で購入した。
梼原町総合庁舎前で開いた式典には山本有二・元農相らが出席し、テープカットで導入を祝った。
ジビエカーが配備される「ゆすはら西」の西村建雄代表は「山に放置していた肉をお金に換える仕組みをつくり、活気ある地域づくりにつなげたい」。2018年春に完成する解体処理施設と合わせ、本格運用するという。
またこの日、梼原町と梼原町猟友会、四万十森林管理署は、シカ被害対策とジビエの活用推進に関する協定を締結。四万十森林管理署が囲いわなの無償貸与などを行う。