徳島県の那賀町は、那賀町大久保の町施設・もみじ川温泉に従来の灯油ボイラーに替えて燃焼時の二酸化炭素(CO2)排出が少ない木粉ボイラーを導入し、温室効果ガス削減分を販売する事業を始めた。温室効果ガス削減・吸収量分を売買できる国の「J-クレジット」制度の認証を、県内の団体で初めて取得し、売却益は森林保護などに充てる考えだ。
町は2月、もみじ川温泉に約4700万円かけて木粉ボイラー2基を設置。営業終了後に調整運転を重ね、6月2日から本格的に稼働させた。現在ある灯油ボイラー2基のうち1基の使用をやめ、5年間で405トン分のCO2削減と同クレジット発行を見込む。
クレジットの販売価格は購入希望者との個別取引や入札によって決まるが、町は1トン当たり5千~1万円程度と想定している。
木粉は同町吉野の第三セクター・那賀ウッドが、町内の製材所から出る端材などを使って製造。当面、取引時の灯油価格に合わせて発熱量当たり同額で卸す。
町では本年度、同町横谷の四季美谷温泉でも木粉ボイラー導入を予定しており、関連予算約4800万円を2015年度補正予算に計上している。
町は「町内の豊富な森林資源を自然エネルギーとして活用し、地球温暖化対策と林業活性化の両立を目指したい」と話している。
J-クレジットは国が13年度、大企業が中小事業所の省エネを支援するとCO2の排出枠を得る「国内クレジット」と、温室効果ガス削減・吸収量分を売却できる「オフセット・クレジット(J-VER)」の両制度を一本化し発足させた。J-VERでは徳島県などが認証を受けている。
【写真説明】2日から本格的に稼働している木粉ボイラー=那賀町大久保のもみじ川温泉