木のある暮らし 血圧安定、リラックス効果

lif1410240028-n1木のテーブルやイスを使うと落ち着く、幼児の発育には木製のおもちゃがいいなど、木についての気分的、精神的な働きがよくいわれる。どれほど木のある暮らしが人の心と体に安らぎを与えるのだろうか。

日本生理人類学会の学会誌(平成11年)で発表された、男子大学生20人を被験者とし木材に触れた際の血圧の変化を調べた実験データがある。木材(スギ・無塗装、スギ・オイルフィニッシュ塗装)と金属を用意し、それぞれの材料に90秒間触れてもらい、その後血圧を測った。

金属に触った場合、一度上がった血圧は時間がたってもあまり下がらず緊張が続く。木材の場合は両方とも血圧は一度上がるが、まもなく下がり始め、元の血圧に安定しリラックス状態になる。

また、生後1~3カ月の赤ちゃんに、ヒノキに含まれる成分であるα-ピネンのにおいをかがせてみると心拍数が下がり、落ち着いた状態になったという(同学会誌25年発表)。

森林総合研究所主任研究員の恒次祐子氏は「特に針葉樹に多く含まれるα-ピネンなどのにおい成分は、体にいい影響を及ぼします。また、木のある環境は、高齢者の施設でも行動を落ち着かせるという効果を見せています」と話す。

学校の木製机はどうだろう。橘田紘洋愛知教育大名誉教授の「木造校舎の教育環境」(16年)によると、木造とRC構造の校舎それぞれで木製机とスチール机を使う授業中の子供の様子を比べたところ、どちらの校舎でも木製机を使う子供の方が眠気、だるさが少なく、集中力が続いた。

恒次氏は「木製品は手入れが面倒と感じる人もいますが、使い捨てではなく長く使えます。心の持ちようで愛着も湧くのが木なのです」とし、木とのふれあいを勧めている。(宇山公子)

産経ニュース