スギ間伐材で食器開発 神山のNPO、収益で間伐促進【徳島】

200_g88uuQQb徳島県名西郡神山町のNPO法人グリーンバレーが、スギの間伐材を利用した食器を開発した。森林や水資源を守る「SHIZQ(しずく)プロジェクト」の一環。理事で大阪市から移住した廣瀬圭治さん(41)=同町神領=が企画やデザインを担当した。販売の収益を間伐の促進に役立てる。

考案したのはコップ、ボウル、プレート。スギは木目や赤い部分が目立ち、加工品としてはあまり好まれない。しかし、デザインで弱点を個性に変え、おしゃれな器に仕上げた。漆塗りのシリーズもあり、加工は誠秀工芸(徳島市)に発注した。単品価格は9900~1万9300円。

間伐材食器の開発のきっかけは、廣瀬さんが移住後に感じた素朴な疑問だった。「緑豊かと思っていた神山の森林が実は人工林で、荒れていた」

間伐が進まない背景には町の林業の衰退があった。木材価格は下落し、生産量も激減。林業従事者は50年前の781人から21人(2010年)に減った。

森林は山の保全にも重要で、2人の子どもを抱える廣瀬さんは荒れた山に危機感を覚え、活用法を考案した。県の「デザインで蘇る森の実証実験事業」として2013年11月から準備を進めてきた。

廣瀬さんは「林業の視点からは解決が難しくなっている山林の荒廃の問題に、デザインの力で光を見いだそうという事業。住民が山林を守るためにできる等身大の投資行動として商品に注目が集まれば」と期待している。

徳島新聞Web