表丹沢に女性林業従事者【神奈川】

20140604000656_178274全国でも少ない女性の林業従事者が、表丹沢の山林で活躍している。秦野市名古木在住の笹原美香さん(34)だ。女子大を卒業後、長野県や群馬県の林業会社や森林組合で経験を積み、昨年8月、市内寺山に支店を持つ諸戸林業株式会社(本社三重県)に入社。4月から11月までは、同社が経営するキャンプ場BOSCO(ボスコ)オートキャンプベースの責任者として現場を取り仕切っている。

最近公開された林業をテーマにした映画を見ても「どんなチェーンソーを使っているか、つい注目してしまいました」と照れ笑い。

笹原さんは、市立南が丘小学校、南が丘中学校、南が丘高校(現秦野総合高校)に通い、進学した女子大の専攻は人文学部。「大学時代はラクロスに熱中していました」と振り返る。

大学卒業を控え就職を考え始めた時、「いわゆるOLになっている自分がイメージできなかった」といい、身体を動かせる仕事を探しているなかで目に留まったのが林業だった。

さっそく、長野県や山梨県でNPO主催の森林ボランティアイベントに単身参加するなど行動を起こした。

大学の就職課に「林業に就きたい」と相談して、「きこりになるの?」と笑われてさらに奮起。長野や山梨、岐阜など林業への就職希望者向けに開かれる説明会に積極的に足を運んだ。娘の大胆な決断を、両親は温かく見守っていたという。

当時は、女性というだけで相手にしてくれない企業も多かった。熱意が伝わり入社した長野県の林業会社でも、現場での女性採用は初めて。6人の同期も他は40代〜50代の男性だった。「実は虫が苦手で」と告白するも、雄大な自然の素晴らしさを実感する日々を過ごした。

10年以上の経験を積み、地元での就職に「(大学卒業)当時は、秦野で林業というイメージが無かったですね」と笑う。

キャンプ場では、女性らしい視点で快適に利用できる様にと心を配るが、冬になれば再び山林に入る。

同社の寺山の山林のヒノキは、新歌舞伎座の舞台にも使われている。「樹齢100年以上の木を切ることができるのは貴重な経験。地元だけでなく全国の人に、神奈川県産材の良さを知ってもらいたい」と語った。

タウンニュース 秦野版