自伐型林業を推進 みなべ川森林組合が総会【和歌山】

2743601和歌山県みなべ町のみなべ川森林組合は29日、同町東本庄の町保健福祉センターで通常総会を開き、山林所有者や地域住民が自分たちで山を手入れし木材を出荷して収入を得る「自伐型林業」を推進することを盛り込んだ2014年度の事業計画を決めた。今後、伐採などの技術を学ぶ研修会を開いたり、性能が良い薪(まき)ボイラーの情報を集めて導入を支援したりして、自伐型林業に取り組める環境を整えたい考えだ。

自伐型林業は、高価な高性能林業機械を導入しなくても、山林所有者や地域住民が軽トラックや林内作業車、軽架線などを使って低コストで取り組むことができるのが特徴。同森林組合が事業計画に自伐型林業を推進する取り組みを盛り込んだのは初めて。

事業計画の審議では、ことし1月、全国で自伐型林業の普及指導をしているNPO「土佐の森・救援隊」(高知県)の中嶋健造理事長(52)を招いた講演会を同町清川で開催し、その際に参加者を対象に実施したアンケートの結果を説明。「木材の伐採や搬出などの技術指導を受けることができる場合、参加したいか」という質問では、回答した42人のうち30人が「参加したい」と回答したという。

さらに「山仕事(間伐・搬出、木材・林産加工物、森林ツーリズムなど)に関わってみたいか」という質問では、21人が「副業としてやってみたい」、4人が「専業としてやってみたい」、10人が「ボランティアとして関わってみたい」と答えている。事業計画に盛り込んだ運営の基本方針では「予想以上の回答。自伐型林業に前向きな地域住民の期待に応えるべく、他団体と連携し技術講習会等を実施していく。将来、みなべ町内でも梅産業の副業として里山林業に参入してくれる地域住民が増えてくれることを期待している」とした。

さらに、同町熊瀬川にある町有施設「鶴の湯温泉」の運営協議会が薪ボイラーの導入を検討するとしたことにも触れ「町と温泉関係者とともに、近隣ですでに薪ボイラーを導入している温泉施設へ視察に出向き、その性能や経済性、利点や問題点について詳しく調査する」などとした。

具体的な事業としては、他団体と共同で自伐林業技術研修会を開催し、林業就業に関心のある地域住民の参入する機会を増やし、地元から将来の林業後継者を育成する▽自治体や地元ハウス農家に対し、最も熱効率と経済性に優れた薪ボイラーを提案するため、全国の先進地やメーカーから情報を集め、優良機種の選択に努める―などとした。

森林組合の松本貢参事(51)は「3年後を目標にして、自伐型林業をメーンとして地域の木材を伐採・搬出ができるように、研修や環境づくりに取り組みたい」と話していた。

■新組合長に小田さん

任期満了に伴う役員の改選では理事12人、監事4人を選んだ。その後の理事会で、代表理事組合長に小田善一さん(70)=みなべ町清川=が選ばれた。

小田組合長は「合併は考えず、小さいながらもきらりと光る森林組合を経営していきたい。一気には難しいが、自伐型林業を進めることで地域の山を良くしていきたい」と話している。

組合長以外の役員は次の皆さん。任期は3年。

副組合長=中松傳一、細川初夫

理事=谷本智、栗原修、西川昌宏、植野道弘、橋本茂、田川幸一、大野茂、石上進、下向明

代表監事=新家昭輝

監事=佐々木龍雄、道上博志、山崎真一

【2014年度の事業計画を決めたみなべ川森林組合の総会(29日、和歌山県みなべ町東本庄で)】

AGARA紀伊民報