首都圏住民が門前の森再生 6月にツアー【石川】

H20140408105石川県輪島市門前町にある手入れが行き届いていない森林の再生に首都圏住民が乗り出す。曹 洞(そうとう)宗大本山總持寺祖院の奥山に当たり、開祖ゆかりの名水も湧く2・5ヘク タールに及ぶ雑木林で、草刈りや間伐、植栽を進め、都会と能登の人の交流の場にする。 能登を愛する人たちの自主的な取り組みで、都市住民による森林整備を通じた温暖化対策 も掲げ、6月に第1弾ツアーを実施する。

森林の保全、活用に当たるのは首都圏在住の能登出身者や能登ファンらでつくる「のと だらぼちITOKO(いとこ)会」。門前町でそば店を営む傍ら、地域おこしに取り組む 星野正光さん(71)が代表を務める。約100人の会員がおり、東京・銀座の居酒屋「 のとだらぼち」で毎月親睦を深め、定期的に能登を訪ねている。

北陸新幹線金沢開業を来春に控え、首都圏と能登の交流をさらに進めようと森林を管理 する輪島市に活用を提案し、活動に関する協定書を交わした。「ITOKOの森」と名付 けて手入れし、雪割草などを植栽する。6月にITOKO会員らがツアーを組んで訪れ、 活動を開始する。

地元での雇用創出につながるよう寄付金を集め、普段の草刈りなどを門前地区のお年寄 りらに委託する取り組みも行う。

門前町鬼屋に位置する森は1989(平成元)年から2年がかりで、峨山道(がざんど う)環境林として広葉樹の植栽、散策道整備などが行われたが、その後の手入れや保全が ままならず、活用されていなかった。

總持寺の開祖が龍神から授かったとされる名水百選「古和秀水(こわしゅうど)」周辺 に広がり、同寺二祖峨山禅師ゆかりの峨山道も通る「禅の里」の歴史と魅力に触れられる 場所であり、輪島市も観光資源としての活用と首都圏からの誘客に期待を込めている。

ITOKO会首都圏代表の会社員山本孝一さん(52)=千葉市=は「能登の地、能登 の人たちのお世話になってきた。恩返しに少しでも地域に役立ち、環境意識の高まりにつ ながる活動ができればいい」と話した。

富山新聞